支援者は大人だけ?認知症発見者は子供――ケアマネ研修会レポ2

11月15日、東京都がケアマネジャー向けに開催した研修会、「地域の力を活かす介護支援専門員とは」の午後の部では、地域包括支援センター社会福祉士や主任介護支援専門員から地域の力を活用した支援の実践報告やシンポジウムが開かれた。

石川県津幡町地域包括支援センター社会福祉士、寺本紀子氏は「地域で住み続ける人への支援」として地域包括支援センターの取り組みを報告。利用者に接するケアマネジャーからの気づきは多く、地域包括支援センターの相談支援につないでもらっていると述べた。

ケアマネジャーから地域包括支援センターに寄せられる相談では、津幡町内には透析を行う医療機関がなく、「そろそろ利用者が退院するが週3回の透析をどうしよう」といったものや、「デイサービスの送迎時、家族の冷たい態度が気になる」「息子が失業して利用料が滞っている」などが紹介された。

人間関係を図式化した「ジェノグラム」や「地域マップ」を活用した相談支援では、スクリーンに実物が映し出され、嫁が高齢者を見ていなかったから高齢者徘徊したなど“悪者探し”がなくなり解決策に注目できるようになったなどの効果が伝えられた。

ケアマネジャーアセスメントのポイントでは、相談者は地域でどんな立場だったか、地域住民は当事者をどうみているかをつかむことが大事と述べ、「今はゴミ屋敷だが昔は地主で名家だったなど、現状把握だけでなく過去がわかると当事者とのコミュニケーションのヒントになる」と時系列で変化をとらえる視点を持つよう呼びかけた。

また、津幡町では2カ月に1度、事例検討会や会議をより良い方向へ導びいて質を向上させる役割を担うファシリテーターの練習が行われ、利用者との面談時のうなずきや繰り返しなどの面接技法を学ぶ演習が毎月開かれるなど、地域包括支援センターケアマネジャーとが連携した勉強会についても報告された。

続いて登壇した石川県上荒屋クリニック介護相談センターの馬渡徳子氏は、主任介護支援専門員であり医療ソーシャルワーカーも兼務する。「地域の力を活用したケアプラン作成」をテーマに、認知症になった79歳の男性Aさんに運転免許証を返納させるまでの経緯を語った。

Aさんは、車上生活をしている児童の保護司や民生委員を務め、地域でもリーダー役として知られる人だったが、認知症の発症後、公民館へ高齢者仲間を送迎する際に事故を起こすようになってしまった。そこで免許返納を含めたAさんへの支援が検討された。

最初にAさんの異変に気付いたのは子供たちの「おじさんの歩き方が変」の一言からだったが、馬渡氏らは、Aさん自身が“24時間365日、一番地域住民の動きを知っている”として結成させた「コンビニ店長の会」や、廃品回収をする児童の活動など、もともと本人が持っていた地域でのネットワークを活用したマップを作成し、見守りや訪問を行った。

馬渡氏は、Aさんのケアプランデイサービスを導入することにし、認知症の人と家族の会の地域支部にに相談したところ、「そういうリーダータイプの認知症の人には招待状作戦が良い」とアドバイスされた。

そこで、公民館併設の畑仕事に来るAさんと顔見知りになるようデイサービスのスタッフに畑への訪問を依頼し、「地域のリーダーのAさんが見学に来てくれたら、他の人も来るようになる」と、Aさんにチラシを渡してデイサービスへ誘ってもらった。
また、運転免許証の返納には孫に感謝の言葉を書いた“賞状”を作ってもらい、家族で免許の卒業式セレモニーを開いてAさんに車の運転をやめてもらったという。

馬渡氏は、地域の中に存在する社会資源の気づきについて、「当事者支援は大人にしかできないとか固定観念を捨てることで新たな発見があり、お互いを支えあう仕組みが構築できる」と述べ、会場のケアマネジャーらに広い視野を持つよう訴えた。

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