車の運転をやめた高齢者は続けている高齢者と比べ、要介護認定のリスクが2.16倍高くなることが、筑波大の市川政雄教授らの研究チームの分析で明らかになった。一方、運転をやめても、自転車に乗ったり公共交通機関を利用したりして、自発的に移動している人のリスクは1.69倍にとどまった。
研究チームは、愛知県在住の65歳以上の高齢ドライバーのうち、2006~07年時点で要介護認定を受けていない2844人を対象に追跡調査を実施。その後、10年時点の運転継続の有無、公共交通機関や自転車の利用状況を確認した上で、6年後の要介護認定のリスクを推計した。分析の際は、対象者の健康度の違いなどを調整したほか、フレイル(虚弱)の人に限定した分析も行った。
その結果、車の運転をやめた後、家族の送迎などで移動している人は、運転を続けている人よりも要介護認定のリスクが2.16倍高かった。一方、運転をやめても、公共交通機関や自転車で移動している場合は、そのリスクが1.69倍にとどまった。フレイルの人に限定した分析でも、ほぼ同様の結果だった。
研究チームでは、「運転をやめると要介護認定のリスクが高まるが、能動的な代替交通手段の利用によって、そのリスクは多少低減するかもしれない。高齢運転者の対策では、運転中止による健康の影響への配慮が求められる」としている。