厚生労働省老健局の大島一博局長は8月31日、徳島市で開かれた日本介護支援専門員協会(日本ケアマネ協会)の全国大会に出席した。ケアマネジャーの国家資格化について参加者から意見を求められた大島局長は、個人的見解としながらも「(ケアマネの仕事は)国家資格にふさわしいくらいの内容であるかと思う」と言及。その実現には、「国家資格化を求める団体の組織率とかが問われることになる」とも述べた。
大島局長は、「個人的にはケアマネという仕事はすごく大切だし、国家資格にふさわしいくらいの内容ではあるかと思う」と述べた。ただし、国家資格に関する法案については、「側面的なサポートはできても、役所から法案を出すのは難しい」と指摘。ケアマネの国家資格化を実現するには、国会議員による「議員立法」が不可欠との見解を示した。
そして、議員立法への機運を高めるためには、「(国家資格化を求める)団体に入っている方の総意であるかどうか。また、その団体の組織率がどのくらいあるか」が問われるとし、まずは日本ケアマネ協会内で、国家資格化に向けた議論を深める必要があるとした。
(基調講演する大島局長)
■地域づくり、ケアマネが意識すべきことは?
この日、大島局長は、「介護保険と地域づくり」のテーマで基調講演した。大島局長は、高齢者が家に閉じこもらず、社会参加できる機会を作るためにも「通いの場」を拡充することが必要と説明。「通いの場」については、目的さえ満たせば、取り組みの内容も、実施する場所も自由に設定できることなどを改めて強調した。
また、地域づくりを考える上で、専門職が知恵を持ち寄って話し合う「地域ケア会議」は重要な役割を果たすと指摘。ただし、目的が共有されていないなどの場合、十分な機能は発揮しないとした上で、地域ケア会議を実施する上でのポイントとして次の4点を挙げた。
・「その人にとっての普通の生活を取り戻すために、何ができるか」を会議の目的とする
・市町村が主体的に開催する
・専門職に知恵を借りるとともに、介護保険などの制度に限定せず、生活の支えとなるものを広く活用する。生活支援コーディネーターの知恵や情報もフル活用する
・対応が漏れている施策は、市町村が制度化する
その上で、特にケアマネに対しては、介護保険内のサービスはもちろん、介護保険制度外のサービスなども、積極的にケアプランに位置付けることを求めた。