高齢者はやせているほど認知症になりやすい―。こうした実態が、千葉大などの研究チームの調査で明らかになった。これまでの研究では、糖尿病が発症リスクとして知られてきたが、やせていることも危険因子になることが分かった。研究結果は「Journal of Diabetes Investigation誌」のオンライン版に掲載された。
同チームは、愛知県の常滑市と南知多町の65歳以上の住民3696人を対象に、約6年間の追跡調査を実施。認知症を発症した338人とそれ以外の人との関係性などを調べた。
その結果、「やせ型」(BMI18.5未満)の高齢者の認知症の発症リスクは、「標準体重」(同18.5~24.9)の人に比べて、男性で1.04倍、女性で1.72倍高くなることが分かった。また、糖尿病を抱える人では、糖尿病を持たない「標準体重」の人よりも、男性で2.22倍、女性で2.00倍高かった。
100人・1年当たりの認知症の発症率は、「高度肥満」(同30.0以上)、「肥満」(同25.0~29.9)、「標準体重」、「やせ型」の順で高くなり、やせていくに連れて有意に上昇した。
「やせ型」と他の疾患との組み合わせで発症リスクを見ると、「やせ型」と高血圧症が最も高く、次いで「やせ型」と脂質異常症などと続いた。