埼玉県和光市は13日、同市の東内京一・企画部審議監が詐欺の容疑で同県警に逮捕されたと発表した。既に同市では、東内審議監が保健福祉部長だった時期に、市が保管していた生活保護受給者の現金をだまし取ったとし、朝霞警察署に告発状を提出している。東内審議監は、介護予防や要介護度の重度化予防に大きな成果を上げ、全国的に注目される「和光モデル」の“生みの親”といえる存在で、関係者からは驚きと失望の声が上がっている。
和光市によると、東内審議監は保健福祉部長だった4年前、生活保護を受けていた80代の女性から現金500万円をだましとったとしている。
女性はその後死亡したが昨年、親族から市に預けた現金に関し問い合わせがあった。さらに同市職員からも、東内審議監が福祉事務所に保管していた生活保護受給者の現金を着服した疑いがあるとの通報があったことから、市は調査を開始。今年1月、詐欺の事実を認定し、告発状を提出した。市によると、東内審議監は、市の聞き取り調査に対しては詐欺の事実を否定したという。
市から告発を受けた朝霞警察署は13日、東内審議監を詐欺の容疑で逮捕した。なお、東内審議監は今年4月1日から休職中。
■介護保険制度改正にも携わる
東内審議監は、介護保険が発足した2000年以降、同制度に関連する部署の責任者を歴任。「和光モデル」の導入と推進で中心的な役割を果たしてきた。「和光モデル」については、15年11月に安倍晋三首相が現地を視察するなど、先進事例として全国的に知られている。
また東内審議監は、09年4月から11年9月まで厚生労働省老健局に出向。地域包括ケアシステムの普及を目指した介護保険法改正などにも携わった。そのほか厚労省や総務省のさまざまな検討会で委員を務めたほか、「混合介護」の推進を目指した政府の規制改革推進会議の公開ディスカッションにも有識者として登壇した。