高齢者人口がピークとなる2040年を見据え、厚生労働省が29日に策定した「医療・福祉サービス改革プラン」では、ロボットやAI(人工知能)の活用や介護分野の文書量の削減、社会福祉法人などの大規模化といった改革を進め、サービスの生産性を5%以上改善するとする目標が掲げられた。
「医療・福祉サービス改革プラン」では、(1)ロボット・AI・ICT(情報通信技術)などの実用化推進、データヘルス計画(2)タスクシフティング、シニア人材の活用推進(3)組織マネジメント改革(4)経営の大規模化・協働化―の4つの改革によってサービスの生産性の向上を図り、単位時間サービス提供量(※編注)で5%以上(医師は7%以上)の改善を目指すとしている=図=。
※編注 サービス提供量/従事者の総労働時間で算出される指標(テクノロジーの活用や業務の適切な分担により、医療・福祉の現場全体で必要なサービスがより効率的に提供されると改善)
■介護のイメージ改善などで試行事業を実施へ
(1)では、「介護分野におけるICTの導入を推進するとともに、ICTを活用した医療・介護の情報連携に向けた検討を行う」と明記。また介護分野について、▽業務仕分け▽元気高齢者の活躍▽ロボット・センサー・ICTの活用▽介護業界のイメージ改善―の4つのテーマで、全国数カ所で試行事業を行った上で、20年度から全国展開を図るとしている。
(2)では、シニア層を対象とした「入門的研修」を推進し、現場で働く人の修了者の数を21年度までに15%引き上げるとする目標(18年度比)が掲げられている。
(3)では、20年代初頭までに介護サービス事業所が作成する文書量を半減させること目指し、自治体ごとに様式などが異なる“ローカルルール”の見直しに言及。また、改定に対応するためのコストを減らすため、次期改定に向けた検討を進めるとしている。
(4)では、医療法人や社会福祉法人の大規模化に向け、年度内に好事例の収集や分析を行い、20年度から全国展開するとしている。