高齢者がガスこんろの事故に巻き込まれた場合、死亡事故などの重大な事態に陥りやすい―。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、過去6年間にガスこんろの使用が招いた事故の詳細について発表した。それによると、ガスこんろの重大事故の66%は高齢者の事故だった。
2013年度から18年度の6年間に、NITEに通知されたガスこんろの重大事故(225件)のうち、調査が終了し、その内容が公表されているものは182件ある。そのうち、原因が製品以外にある事故は81%(147件)。さらに、この147件のうち99件は「グリル庫内で発火した」「調理油が発火した」「こんろ周囲に燃えやすいものを置いていたため発火した」など、使用者の誤使用などが原因だった。
「パッキンが長年の使用でひび割れ、ガスが漏れていた」など、事故の原因が製品にあったものは3%(5件)に過ぎなかった。
■死亡事故、8件中6件が「被害者が高齢者」
また、重大事故の中でも被害者の年齢が判明している事故は139件。そのうち92件(66.2%)が60歳以上の事故だった。また、死亡事故は8件あったが、そのうちの6件が60歳以上の事故だった。
NITEでは、特に高齢者がガスこんろの事故に巻き込まれた場合、重篤化しやすいと指摘。その上で、事故防止のための注意点として、次のポイントを示している。
・使用中は、その場から離れない
・グリルは、こまめに掃除する
・グリル内で調理物や汚れなどが発火した場合は、操作ボタンや器具栓つまみを消火の状態に戻し、火が収まるまでグリルの扉を開けない
・煮こぼれや油汚れはきれいにふき取る
・ガス臭いときは絶対に点火せず、ガス栓を閉めて販売店やガス事業者に連絡をする
・繰り返し点火操作をするときは、周囲のガスがなくなるまでしばらく待つ
・こんろの周囲に燃えやすいものを置かない