文書の様式が自治体によって異なる“ローカルルール”の解消などに向け、厚生労働省は来月、社会保障審議会介護保険部会の下にワーキンググループ(WG)を設置する。8月までに初会合を開き、年末にも中間取りまとめを行う見通し。WGの議論の結果を踏まえ、すぐに対応が可能なものについては、年度内に自治体に通知し、文書の様式例などを示すとしている。
政府の「未来投資戦略2018」では、介護サービス事業所の業務の効率化などにつなげるため、2020年代初頭までに、行政が求める帳票などの文書量の半減を目標として掲げている。また、自民党・厚生労働部会のプロジェクトチームは先月、自治体ごとで異なる書類形式の統一などを求める提言を発表している。
こうした背景を踏まえ、厚労省は今回、介護保険法の改正案などを決める介護保険部会の下に、新たなWGを立ち上げることを決めた。来月の介護保険部会に設置要綱案を諮り、正式決定する見通しだ。WGの委員は、同部会の委員やその所属団体などから選出するとしている。
■議論のテーマは主に3つ
“ローカルルール”の温床となっているのが、厚労省の通知の解釈だ。同省は通常、文書の様式例を示すが、場合によっては、自治体に丸投げすることもある。自治体側は、同省の指針に沿って様式を作るが、通知に複数の解釈が生まれるケースもあり、自治体ごとに異なる様式が存在する要因となっている。
今回のWGの設置について、同省幹部は「地方分権の流れに逆行するつもりはない。自治体の業務の効率化にもつながるので、あくまで標準的な事例を示し、協働して文書の削減に取り組む。その結果として“ローカルルール“の解消につなげていきたい」と話す。
WGでの議論のテーマは、▽指定申請関連文書(人員・設備基準を確認するための文書など)▽介護報酬請求関連文書(加算取得の要件を満たしているかどうか確認するための文書など)▽指導監査関連文書(指導監査に当たって提出を求められる文書など)―の主に3つで、様式例の見直しによる文書の簡素化に加え、様式例が無い場合の標準的な様式例などについても検討するとしている。