社会福祉施設で発生する労働災害が10年間でおよそ倍に増えたことが、厚生労働省の調査で分かった。
厚労省が発表した2018年の労働災害発生状況によると、同年に社会福祉施設で労働災害に遭った人は9545人。17年に比べて807人増加した。社会福祉施設での労災は年々、増加を続けており、08年(4829人)と比べると、ほぼ倍増した=グラフ1=。
労働者1000人当たりの労災の年間発生率も、14年には1.99人だったが、15年には2.01人、18年には2.30人と増え続けている。
■労災の7割が「転倒」「動作の反動・無理な動作」
18年の事故の内訳は、「転倒」が3321人で最多。次いで多かったのは腰痛の原因となる「動作の反動・無理な動作」(3186人)で、この2つの原因で労災全体の7割近くを占めた。そのほかでは「墜落・転落」(625人)、「交通事故(道路)」(543人)、「激突」(438人)などと続いた。
また、18年に事故に遭った人の約6割は50歳以上だった。
既に厚労省では「STOP!転倒災害プロジェクト」や社会福祉施設に対する腰痛予防対策講習会などを実施し、労災の発生防止に努めている。それでも事故の増加に歯止めがかからない背景について同省では、社会福祉施設を運営する法人に、安全担当者がいないなど、安全管理体制が脆弱である点が影響している可能性があるとし、19年度には、安全推進者(安全担当者)を養成する講習会の開催などの取り組みを進めるとしている。