昨年春の制度改正に伴い、行為の数が8種類から15種類に広がった身体介護の「見守り的援助」について、「利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓」の提供が多いと考える訪問介護事業所が40.1%で最も多いことが、厚生労働省の助成で民間のシンクタンクが行った調査で分かった。サービス提供の際に困難と感じていることでは、「利用者(家族)から理解を得ることが難しい」がトップだった。
調査は昨年12月、「エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ」(東京都千代田区)が、全国の訪問介護事業所から無作為抽出した2000カ所を対象に行い、このうち715事業所から有効回答を得た。
昨年11月の見守り的援助の利用実績は、「0人」が43.5%で最も多く、次いで「1~5人」(24.5%)などと続いた。また、介護報酬改定が行われた昨年4月から11月までの間に、生活援助サービスから見守り的援助に変更した利用者数を尋ねたところ、こちらも「0人」が半数を占め、1人以上いると回答した事業所は25.4%だった。
変更した理由を複数回答で聞くと、トップは「利用者の自立支援のため」(21.1%)で、以下は「ケアマネからの要請があったため」(16.5%)、「事業所の方針として変更」(6.0%)などの順だった。
見守り的援助を提供する利用者で多いと思う行為(複数回答)では、「利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う掃除、整理整頓」(40.1%)が最多で、次いで「移動時、転倒しないように側について歩く」(35.2%)、「洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う」(34.4%)などと続いた=グラフ=。
■プラン届け出、サービス切り替えの要望も
昨年10月から、訪問介護の生活援助サービスの利用回数が国の基準を上回るケアプランの届け出制度が始まった。制度が始まる直前の9月の実績で、利用回数が基準を上回る見込みの利用者数を尋ねたところ、「0人」が全体の6割超を占め、次いで「1人」(11.5%)、「2人」(5.2%)などと続いた。このうち、利用回数の調整を行った利用者の人数は「1人」が40.4%で最も多かった。
また、利用回数が基準を上回った利用者に対して、ケアマネジャーから受けた要望について複数回答で聞くと、トップは「ケアプランの届け出を行い、同様のサービスを提供」(45.2%)だったが、「生活援助中心型サービスを一部またはすべてを身体介護中心型への変更」(27.4%)や「訪問介護サービス回数自体の縮小」(20.5%)など、サービスの切り替えに関するものも一定数あった。
■サ責からの情報、トップは「服薬状況の課題」
昨年春の運営基準の改正に伴い、訪問介護事業所などから伝わった利用者の情報のうち、主治医や薬剤師らが知っておく必要性が高いものについては、ケアマネから報告することが義務となった。
サービス担当責任者が居宅介護支援事業所などに最も多く提供した情報について尋ねたところ、トップは「服薬状況の課題」(48.7%)で、次いで「栄養に関する課題」(10.8%)などと続いた。提供の方法は「電話」(86.0%)が最も多く、以下は「サービス担当者会議」(74.8%)、「ファクス」(45.9%)などの順(複数回答)。提供後のフィードバックについては、「あることが多い」が53.0%に上った。