兵庫県は、ケアマネジャーや相談支援専門員が、高齢者や障害者ら「災害弱者」の個別の支援計画の作成に取り組むモデル事業を4月からスタートさせる。福祉の専門職による「災害弱者」の支援計画の作成に、都道府県が公費を投入するのは、全国でも初という。
2013年の災害対策基本法の改正に伴い、市区町村には、災害時の避難に支援が必要な人(要援護者)の名簿を作成することが義務付けられている。また、要援護者の個別の支援計画(個別計画)の策定は、内閣府のガイドラインで努力義務と位置付けられている。
ただし、個別計画を策定しているのは全市区町村の1割程度にとどまっている。兵庫県内でも、「県内の要援護者のうち、個別計画を策定している人は7%程度」(防災企画課)となっている。
こうした状況を踏まえ兵庫県では、個別計画の策定を推進するため、ケアマネや相談支援専門員らを巻き込んだモデル事業を実施することを決めた。
事業ではまず、県内のすべての市町で、自主防災組織を選定する。自主防災組織には、地域の自治会などが選ばれる見通しだ。その後、自主防災組織と行政が連携し、ケアマネや相談支援専門員、要援護者やその家族らを交えた「ケース会議」を開催し、個別計画を立案する。立案した個別計画は、地域の防災訓練で、その内容を検証する。
個別計画を立案したケアマネには1計画当たり7000円の報酬を支払うという。「取り組みの効果が確認できれば、全国に横展開するよう国にも提案したい」(防災企画課)としている。