介護保険サービスを利用する際の自己負担を「低い」と思う人は、現役世代よりむしろ、高齢者の方に多い―。そんな調査結果が健康保険組合連合会(健保連)の「医療・医療保険制度に関する国民意識調査」(速報版)で示された。
健保連では今年6月、全国の20歳代から70歳代までを対象にインターネットによるアンケート調査を実施。2000人から有効回答を得た。
介護保険サービスの自己負担については、高いと感じている人(「非常に高い」と「やや高い」の合計)は32.1%だった一方、低い(「やや低い」と「非常に低い」の合計)と答えた人も32.3%となった。「わからない」は35.8%だった。
介護保険サービスの自己負担に関する回答を年齢別で集計すると、64歳以下の現役世代では、「高い」(32.3%)と答えた人が「低い」(29.8%)と答えた人を上回った。一方、介護保険サービスを実際に利用する人が増える65歳以上では、「低い」(40.0%)と答えた人が、「高い」(31.3%)と答えた人を9ポイント近く上回った。
介護保険サービスの利用料の自己負担は、原則1割だが、15年8月以降、一定以上の所得がある人については2割に引き上げられた。18年8月からは現役世代並みの所得の人については、3割まで引き上げられる。
■介護費の総額や保険料、「高い」「重い」が6割
日本の介護費の総額については、6割余りの人が高い(「非常に高い」と「やや高い」の合計)と回答。特に65歳以上では、7割余りの人が高いと感じていた。また、一人ひとりが負担する介護保険料についても、6割余りの人が重い(「重い」と「やや重い」の合計)と答えた。65歳以上の人ではおおよそ7割の人が重いと答えた。
■高齢で寝たきりなら「介護施設で」が多数派
また、高齢で寝たきりになり、介護が必要となった場合に介護を受けたい場所を尋ねた質問では、「介護施設」が37.1%で最も多かった。次いで多かったのは「自宅」の27.7%で、「病院」は11.7%だった。自宅より介護施設が多い傾向は64歳以下でも65歳以上でも変わらなかった。
回答者自身や回答者の家族が認知症になった場合に希望する生活の場としては、「住み慣れた自宅でできる限り暮らす」「認知症グループホームなどの認知症高齢者向けの住居・施設」「認知症に特化した医療が受けられる専門の医療機関」で、ほぼ三分された。
■今後、充実してほしいサービスは「施設」
拡大・充実してほしい介護保険サービスについて尋ねた質問では、「特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設」と答えた人が29.8%で最も多かった。以下は「訪問介護や訪問看護などの訪問サービス」(19.6%)、「認知症高齢者グループホームや介護付き有料老人ホームなど」(15.5%)、「通所介護などの通所サービス」(9.6%)などとなった。「特になし」は24.4%だった。