東京都健康長寿医療センター研究所と株式会社ヤクルトは、乳酸菌のラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む乳製品の習慣的摂取が高齢者の高血圧発症リスクを低減することを明らかにした。
ラクトバチルス カゼイ シロタ株は、腸内菌叢改善やがん再発予防などが報告されている乳酸菌で、乳酸菌飲料などで摂取することができる。今回の研究では、虚血性心疾患や脳卒中などを引き起こす原因となる高血圧との関連を調べた。
研究は、群馬県吾妻郡中之条町在住の65才から93才の高齢者352名を対象に行い、過去5年間のラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む乳製品の摂取頻度によって週3回未満摂取群(254名)と週3回以上摂取群(98名)群に分け、過去5年間の高血圧発症率を比較した。
その結果、週3 回以上摂取群の過去5年間の高血圧発症率は6.1%で、週3 回未満摂取群の発症率14.2%に比べ、統計学上有意に低い値を示した。さらに、高血圧発症に関与すると言われている年齢や性別、喫煙、飲酒などを調整して解析した結果、週3回以上摂取群は週3回未満摂取群と比較して高血圧発症リスクは半分以下だった。また、未発症率の観点でも、週3回以上摂取群は週3回未満摂取群に比べて高血圧発症リスクは有意に低い値となった。
これらのことから、ラクトバチルス カゼイ シロタ株を含む乳製品を週3回以上習慣的に摂取することにより、高齢者の高血圧発症リスクの低下につながることが示唆された。
◎東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/release/index.html