ビールの苦み成分にアルツハイマー病を予防する作用があることが、キリン株式会社の健康技術研究所と東京大学、学習院大学による研究でわかった。
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ホップ由来のビール苦味成分であるイソα酸を含む飼料をアルツハイマー病モデルマウスに3カ月間投与し、エピソード記憶などを評価する行動試験で認知機能を評価した後、アルツハイマー病の原因物質の1つとされるβアミロイドの量やサイトカインなどの炎症物質、神経細胞のシナプス量を測定した。あわせて脳内の老廃物を除去するミクログリアの活性化状態を評価した。
その結果、イソα酸投与群では対照群と比較して脳内のβアミロイドの量が有意に低下した。また、脳内の炎症が緩和され、ミクログリアの老廃物除去活性および抗炎症活性が高進するとともに、神経細胞のシナプス量が有意に増加。行動試験による評価では、認知機能が有意に改善した。
これらの結果により、イソα酸は脳内の老廃物を除去するミクログリアを活性化することで、アルツハイマー病の進行を抑制する効果があることが示唆された。
研究成果は、「第35回日本認知症学会学術集会」(12月1日~3日)にて発表する。なお、イソα酸摂取のヒトの脳機能への作用は、内閣府の革新的研究開発推進プログラムImPACTにて実証試験しているとのこと。
◎キリン ニュースリリース
http://www.kirin.co.jp/company/news/2016/1128_03.html