今年度第二次補正予算(総額3兆2,869億円)が10月11日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。厚生労働省が提出した計5,698億円の予算案は、提案通りとなった。
柱は、「一億総活躍社会の実現の加速」「21世紀型のインフラ整備」「英国のEU離脱に伴うリスクへの対応や中小企業、地方等の支援」「熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対応の強化」の4つ。
このうち「一億総活躍社会の実現の加速」に4,477億円が割かれ、大部分を占めている。
介護分野での注目は、介護人材の確保に向けた、再就職準備金貸付事業の拡充だ。
介護職員として働いた経験があり、一定の知識や技術を持っている離職者が、再び介護の仕事に就く際に、子どもの預け先を探す活動費や介護講習の受講費などに使うお金として、20万円を上限に貸付けを行う制度。再就職後、2年間介護職員として勤務すれば、返還義務は免除される。
厚労省はこの事業に新たに10億円を投じ、介護人材の確保がとくに困難な地域に限り、貸付金額を40万円に引き上げるなどして拡充を行う考え。
高齢者施設等の防災対策の強化も図る。神奈川県相模原市の障害者施設での殺傷事件を踏まえて、非常通報装置や防犯カメラの設置、外構の設置や修繕などに必要な費用を補助するため、44億円を計上した。ここには、スプリンクラーの整備や耐震化などに要する費用の補助も含まれている。
「介護離職防止支援助成金(仮称)」の創設も決定した。会社員などの介護離職を防ぐため、仕事と介護を両立できる職場環境づくりなどを進める企業を支援するのが目的。今年度はじめに創設された「介護支援取組助成金」は、この新しい助成金制度に移行することとなる。
このほかにも、介護サービスにおけるICT活用調査研究事業に2.6億円、介護ロボットの導入支援および導入効果実証研究事業に4億円が盛り込まれた。
◎厚生労働省 平成28年度厚生労働省補正第二次予算案の概要
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/16hosei/02index.html