世界に類を見ないスピードで進展する日本の高齢化。1950年時点では5%に満たなかった高齢化率は、2015年には26.7%へと上昇。2060年には39.9%まで伸び、高齢者人口は約2.5人に1人になる見通しだ。
10月4日に厚生労働省が公表した2016年版の「厚生労働白書」では、そのような背景をふまえ、意欲のある高齢者が働き続けることができる「生涯現役社会」の実現を目指す方針が打ち出された。
労働力人口に占める65歳以上高齢者の構成割合は年々増加しており、2015年は、全労働力人口6,598万人のうち、高齢者は744万人。高齢者の構成割合は11.3%で、1970年(4.5%)と比べると、約2.5倍に増えている。
高齢者の就業形態は「非正規の職員・従業員」が70%を超えるが、65歳以降も働く意欲がある人は66%と過半数を超えており、国に対して、「高齢者雇用に対する企業へのインセンティブ」や「希望者全員が65歳以上まで働ける仕組みの徹底」「ハローワークでの職業紹介の取組み強化」などを求める声が多い。
白書では、「働く意欲のある高齢者が、長年培ってきた知識や経験を生かし、年齢にかかわりなく活躍し続けることができる『生涯現役社会』を実現することは、高齢者自身の健康や生きがいにもつながることから、ますます重要」であるとして、今後は高齢者の就業機会を確保するため、雇用環境の整備等への支援や再就職支援等を行っていく考えを示している。
◎厚生労働省 平成28年版厚生労働白書
http://www.mhlw.go.jp/toukei_hakusho/hakusho/