森永乳業は、5月26日、神戸大学の大澤朗教授との共同研究により、日本人における加齢に伴う腸内細菌叢(そう)の変化を確認したと発表した。
腸内細菌叢は、生活習慣病などとの関連があると考えられ、加齢に伴いそのバランスが変化するといわれているが、各年代の違いを詳細に解析した研究はこれまでに報告がない。
研究では、0歳から104歳までの健常者367名の便より抽出したDNAを用いて腸内細菌叢を解析、比較した。
その結果、加齢に伴う腸内細菌の連続的な変化には数パターンが存在し、加齢に伴い減少する菌群、加齢に伴い増加する菌群、成人のみ占有率の高い菌群、乳幼児と高齢者で占有率の高い菌群などが存在することが明らかとなった。さらに、70歳を超えた時点で高齢者型の腸内細菌叢構成になる健常者が多いことなども示された。
加齢は腸内細菌叢を変化させる要因の1つであることが知られているが、その理由については明らかになっていない。
ただ、今回得られたデータから、腸内細菌が保有する機能性遺伝子割合を推測したところ、食物繊維に含まれているキシロースという糖を取り込む輸送体の割合は、その食経験がほぼないと考えられる乳幼児では低いが、離乳後食物繊維を含む食事を摂取する世代になると一定の割合を有するようになっていることなどが示された。このことから、加齢に伴う腸内細菌叢の変動要因の1つは、大腸に到達する食事成分と考えられるという。
これまでも多くの研究により、病態者と健常者を比較することで、腸内細菌叢と疾病との関連性が報告されているが、健康な腸内細菌のパターンや、目指すべき腸内細菌叢構成は明らかになっていない。同社では、今後も引き続き健常者の腸内細菌データを収集することで、健全な発達や健康寿命の延命のためにどのような腸内細菌叢が適しているのかを明らかにしたい、としている。
◎森永乳業 ニュースリリース
http://www.morinagamilk.co.jp/corporate/release/2016/0526_2921.html