厚生労働省が5月17日に公表した「2015年労働災害発生状況」によると、社会福祉施設の死傷者は7,597人で、前年度より373人(5.2%)増加していることがわかった。
(イメージ)
全産業における2015年の労働災害による死傷者数は11万6,311人で、前年の11万9,535人より3,224人(2.7%)減少した。産業別では、製造業の2万6,391人を筆頭に、商業1万7,150人、建設業1万5,584人、小売業1万3,030人、社会福祉施設7,597人と続いた。
第12次労働災害防止計画(2013~2017年)では、2017年までに労働災害による死傷者数(休業4日以上)を2012年比で15%以上減少させることを目標としており、社会福祉施設では死傷者数10%以上の減少(介護労働者の大幅増が前提)を掲げているが、他産業では死傷者が減少傾向にあるのに対し、社会福祉施設は依然として微増傾向にある。
報告では、その理由として、社会福祉施設では高齢労働者を中心とした雇用者の大幅増加(前年比4.3%増)が背景にあると指摘。事故の型別では、移乗介助での腰痛など「動作の反動・無理な動作」と入浴介助中などの「転倒」で全体の約2/3を占めていることから、「動作の反動・無理な動作」については、「職場における腰痛予防対策指針」の普及、「転倒」については、事業場の4S 活動(整理、整頓、清掃、清潔)や、職場の危険の「見える化」を進める「STOP!転倒災害プロジェクト」の推進に今後も引き続き取り組む必要があるとしている。
また、社会福祉施設は安全管理者や安全衛生推進者の選任が義務づけられていないことから、安全推進者を配置することで事業場の安全体制を充実させ、労働災害防止活動の実効を高めることが重要としている。
◎厚生労働省 報道発表資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124353.html