笑う頻度が少ない高齢者は、毎日笑う高齢者に比べて、脳卒中リスクが1.6倍高い―。東京大学大学院医学系研究科の近藤尚己准教授がそんな研究報告を行った。
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笑いが健康によい影響を及ぼすことは、すでに様々な研究から明らかになっている。しかし、うつ病や認知症、不眠症といった精神疾患との関連を調べた研究が多く、心疾患や脳卒中との関わりについてはあまり調べられていなかった。
そこで同准教授は、65歳以上の高齢者20,934人について、笑いの頻度と心疾患または脳卒中との関係を分析。対象となった高齢者には、笑いやうつに関する質問項目について回答してもらった。
その結果、笑う頻度が最も少ない高齢者は、ほぼ毎日笑う高齢者に比べ、脳卒中を有する割合が約1.6倍、心疾患も約1.2倍高かったという。またこの結果は、BMIや高脂血症や高血圧などの影響を統計処理で除いても同じだった。
この研究結果は、笑いが心疾患や脳卒中の発症抑制にも有用である可能性を示している。同准教授はその要因として、「笑いがストレスを軽減するなどのメカニズムが考えられる」としている。