職員研修や現場の見回りなどを実施するも、夜勤帯の状況把握やスタッフ不足が悩み―。高齢者住まい事業者連合会(高住連)が3月23日に発表した有料老人ホームなどの経営者へのアンケートで、虐待防止対策の難しさが浮かび上がった。
(イメージ)
高住連では、有料老人ホームなどでの虐待行為を防止するため、昨年11月から12月にかけて、全国8ヵ所で経営者を対象に研修を実施。受講者へのアンケートで、約8割が「虐待行為は起こっていると思う」「虐待が起こるかもしれない」との危機感を持っていることがわかった。
その後の取り組みを調査するため、研修の1ヵ月後、受講者にアンケートを送付し、約1割にあたる194人から回答を得た。
それによると、59.8%が研修後に事業所で職員向けの研修、13.9%が管理者向けの研修を実施していたほか、約6割が現場を訪問して管理者や職員と話し合う、現場でフロアを見回るなどの対策を行っており、一定の成果が見られた。
一方で、「夜勤帯は1人勤務で実態がつかめない」「スタッフが不足」「どれだけ徹底しても、理解できていない人間がわずかながら存在する」など現場の管理・改善の難しさや、「直前まで病院で4点柵やグローブなどをしていた方が入居し、身体拘束ゼロは簡単ではない」という医療依存度の高い入居者が増えていることでの課題も浮かび上がった。
また、高住連など業界団体への要望として、継続的な研修の開催を希望するほか、「マスコミによる一方的な報道に対し、業界として多くの取り組みを行っている実情を伝えてもらいたい」との声もあった。
◎高齢者住まい事業者連合会 虐待防止1か月後アンケート集計報告
http://www.tokuteikyo.jp/images/register/news1432_1.pdf