脳出血の発症に、むし歯の原因菌が関与することが、国立循環器病研究センターなどの研究チームによって明らかになった。口腔清掃や歯科治療が、脳出血の予防に有効である可能性がある。
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脳出血との関連が認められたのは、むし歯の原因菌の一種である「ミュータンス菌」。
研究チームが、患者の唾液を採取してミュータンス菌を培養し、脳出血との関連を調べたところ、ミュータンス菌のなかでも、血小板の止血作用を阻害する遺伝子をもつ株が検出された患者では、脳出血を発症する割合が高く、MRIによる観察でも微小な脳出血の跡が多く見つかったという。
研究チームは、ミュータンス菌と脳出血の関わりについて、「生活習慣や加齢によって硬くなった脳血管に対してミュータンス菌が傷害を起こすことで、脆弱になった血管が裂け、脳出血に至るのではないか」と分析している。
脳出血は全脳卒中の20%程度を占め、比較的発症年齢が若く、重篤となりやすい疾病。主要な危険因子は、過度な塩分摂取や高血圧、糖尿病などだ。
しかし、食生活の改善に対する認知が進んでいるにもかかわらず、患者数はほとんど減っておらず、別の要因の関与が疑われていた。近年、体内の常在菌が、全身の病気と関連することが明らかになりつつあり、口腔内の細菌についても、血管内に進入して、脳や心臓など全身の血管の病気を引き起こす可能性が指摘されていた。
◎国立循環器病研究センター プレスリリース
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/post_17.html