高齢者住まい事業者連合会(高住連)は、1月下旬、高齢者への虐待防止に向けた取り組みの状況を公表した。
高住連では、昨年10月5日、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などで入居者への虐待行為が頻発したことを受け、再発防止に向けた取り組みを発表。その1つとして、11月から12月にかけて全国8ヵ所で有料老人ホームなどの経営者を対象とした研修を実施した。
研修受講者へのアンケート結果(参加者2,179人中1,815人分を回収)では、参加した高齢者住まいの経営者の13.0%が「虐待行為は起こっていると思う」と回答し、69.8%が「虐待が起こるかもしれない」との認識をもっていることがわかった。
また、過去1年の研修実施状況は、「各事業所で職員向けに実施している」という回答が54.8%、「全社で実施している」が14.8%、「実施していない」が21.0%だった。
虐待防止と認知症ケアには組織的取り組みが必要だが、研修を通じて、参加者からは「不適切ケアの積み重ねが虐待につながっていくことが学べた」「認知症を正しく理解することで、その方へのふさわしいケアが統一できれば、虐待をする必要は発生しない」などの感想が得られた。一方で、虐待防止を難しくさせている要因として、「スタッフの入居者への対応(言葉づかい)の徹底の難しさ」「身体拘束をせざるを得ない入居者への対応」「人手不足」「入居者の家族からの身体拘束の希望」などの声があがった。
◎高齢者住まい事業者連合会 虐待防止の取組みに関する報告
http://www.yurokyo.or.jp/news/pdf/20160121_01_01.pdf