老齢なネコの脳では、人間のアルツハイマー病と同じ病変が形成され、神経細胞が減少していることがわかった。12月10日、東京大学など4大学の研究チームが明らかにした。ネコの脳の研究が、アルツハイマー病の病態解明と治療法開発につながるかもしれない。
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アルツハイマー病は、「βアミロイド」と「高リン酸化タウ」と呼ばれる蛋白質が蓄積し、記憶に関わる海馬の神経細胞が脱落することで発症する。
研究グループが、ペットとして飼われていた老齢ネコの脳を死後解剖したところ、人間のアルツハイマー病と同じ病変が認められた。この病変は、ほかの動物では見つかっていないという。ただ、チーターやヤマネコでは認められており、ネコ科に共通する特徴のようだ。
詳しく調べると、ネコの脳に蓄積したβアミロイドは、ほかの動物でみられるβアミロイドとは性質が異なることがわかった。この「ネコ型βアミロイド」が、アルツハイマー病と同じ病変の形成に関与している可能性があるという。
また、ネコの脳では、海馬の神経細胞内に「βアミロイド-オリゴマー」と呼ばれる毒性が高いβアミロイドが蓄積していることもわかった。βアミロイド-オリゴマーは、アルツハイマー病患者の脳でも検出されていることから、アルツハイマー病におけるβアミロイド-オリゴマーの重要性が示唆されるという。
◎東京大学
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2015/20151210-1.html