東京都健康長寿医療センター・遠藤玉夫副所長らの研究チームは、超百寿者(105歳以上)の血漿を調べることで健康長寿の秘訣を探る研究を実施し、その成果を発表した。
(イメージ)
血液に含まれる血漿タンパク質は、そのほとんどに「糖鎖」が付いているが、糖鎖の構造は、老化や病気など健康の変化を反映して変化し、がんなどさまざまな疾患のマーカーとなることが知られている。
研究チームは、糖鎖が「健康長寿」のマーカーとなるのではないかと考え、105歳超の高齢者の血漿タンパク質に含まれる糖鎖の構造を解析し、若齢対照群(20~30歳)や老齢対照群(70~80歳)の糖鎖構造と比較した。すると、105歳超の高齢者では高分岐かつ高シアル酸含有糖鎖が増加していることがわかった。
高分岐かつ高シアル酸含有糖鎖は、炎症に伴って増加する。つまり105歳超の高齢者では、若齢や老齢対照群よりも炎症が起こっていることを示す。
人間は、加齢によってさまざまな組織に慢性的な炎症が起こり、それは老化の形質の一部と考えられている。105歳超の高齢者で、炎症に伴って増える糖鎖が増加していることから、健康長寿の秘訣は、慢性炎症の抑制ではなく、糖鎖の構造変化などを通して慢性炎症にうまく対応すること、すなわち免疫機能の維持であると研究チームは分析している。
◎東京都健康長寿医療センタープレスリリース
http://www.tmghig.jp/J_TMIG/images/press/pdf/press20151121.pdf