全国の買物弱者の数が、2014年はおよそ700万人であったことが、経済産業省の推計から明らかになった。2008年からおよそ100万人増加した。
買物弱者とは、住んでいる地域で日常の買物をしたり、生活に必要なサービスを受けたりするのに困難を感じる人たちのことを指す。
農村・山間部ではすでに顕在化しているが、今後、高齢化率の高いベッドタウンや地方都市でも深刻化していくとみられる。
特に懸念されるのが単身高齢者だ。単身高齢者は、今後5年間で11%、10年間で16%増加すると予測されているが、買物を依頼できる人がいないなどの理由により買物弱者化する可能性が高い。
また買物弱者は、低栄養の可能性をはらんでおり、地域・国全体の医療費や介護費の増加を招くおそれがある。低栄養は様々な疾病の原因ともなっており、英国では低栄養による経済損失も議論されているようだ。
買物弱者問題に対する取組みでは、小売や交通等の事業者・行政・住民関係各者が協力し合うことが重要となる。そのためには、インフラや法律面の整備が必要だ。
具体的には、物流コストの6割を占める輸送コストのうち、運転者人件費と燃料油脂費は6割を占めることから、コンパクトシティ化を進め、移動距離を短縮してコスト削減をはかることを目指す。
また、過疎地域における輸送・移動手段については、現行では、バス事業者や自家用有償旅客運送は一定の条件下で貨客混載を認める規制緩和がなされている。しかし今後は、タクシーやトラック事業者への拡大も含めて、さらに議論を進めていくとみられる。
◎経済産業省
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