経済産業省は、3月13日、セルフメディケーション推進において果たすべきドラッグストアの役割を整理し、業界に向けて10の提言を行った。
セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること(WHO)」と理解されている。
同省は昨年11月から研究会を立ち上げ、消費者のセルフメディケーションをサポートするために、薬剤師や登録販売者等の専門人材を有するドラッグストアが果たすべき役割について話し合いを重ねてきた。
本研究会の報告書の中に盛り込まれた10の提言では、在宅介護をサポートする情報提供の充実についても言及。政府が、今後のドラッグストアに対して、商品の取り扱いだけでなく、少子高齢化への対応や新たなマーケットの創出など、専門性を活かした多様な役割を期待していることがわかる。
【ドラッグストア業界に向けた10の提言】
1. 消費者のセルフメディケーションに関する理解の醸成
ドラッグストア自らが、消費者のセルフメディケーションに関する理解を醸成していくこと必要である。
2. 専門人材の更なる育成
教育機関等との連携等を通じて薬剤師や登録販売者などの専門性の向上を図り、消費者ニーズに応えることが重要である。
3. 消費者が相談しやすい環境の整備
消費者がドラッグストアで健康状態に関する相談を行うため、専門人材の配置やブースの設置等の物理的環境を整えつつ、消費者にどの従業員が専門的知見を保有しているか伝える仕組み作りが期待される。
4. 消費者への情報提供を支えるデータベースの整備
セルフメディケーション等に関連する商品の成分、効果等に関する一元的なデータベース構築にむけた検討を進めることが重要である。
5. 提供する情報の充実
予防・未病改善、地域包括ケア、在宅介護等、消費者の健康管理をサポートするために、ドラッグストアが提供する情報を充実させることが有効である。
6. 情報提供の前提となる検査等のサービスの充実
消費者への情報提供の前提となる、消費者の健康状態をしっかりと把握するためのサービスを充実することが望ましい。
7. 他の機関との連携
消費者の利便性や自己健康管理の最大化に向け、ドラッグストアと医療機関等の関連機関が連携して消費者へのケアを行えるような仕組みを構築することが重要である。
8. 医薬品等を活用した買物弱者対策等の取組の強化
生活必需品を取り揃え、調剤機能も併せ持つこともあるドラッグストアは、在宅調剤や介護関連の情報提供、遠隔地への医薬品の配送といった方法で、買物弱者への対応においても重要な役割を果たすことが期待される。
9. 外国人旅行者等の利便性向上のための環境整備
インバウンド需要の取り込みに向け、外国人旅行者等の利便性に資する商品情報提供サービス等についても検討を進めることが期待される。
10. 製・配・販連携による返品の削減
過剰生産の抑制や廃棄ロスの削減等、製・配・販連携を通じた社会的コスト低減のための取組を進めて行くことが期待される。
◎経済産業省
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