今年8月に亡くなった若年性認知症の越智俊二さんの妻による介護の日々をつづった『あなたが認知症になったから。あなたが認知症にならなかったら。』が中央法規から発行された。
越智俊二さんは、当時ほとんど知られていなかった若年性認知症の患者として、2004年の国際アルツハイマー学会で日本人として初めて自らの思いを語り、その後も本名を隠すことなくたびたびメディアに登場し、認知症の当人の思いを語り続けてきた。47歳で発症して以降、家族の介護のもと、進行していく病と向き合い、今年8月に62歳で亡くなった。
本書は俊二さんの妻、須美子さんの16年におよぶ介護の日々をつづった手記。働き盛りで食を失った俊二さん一家は、まだ学生だった子供たちと住宅ローンをかかえ、経済的にも追い詰められていく。しかし次第に周囲に理解と支援の輪が広がっていく。
「失ったものも多いが、得たものも多かった」と語る須美子さん。俊二さんは本の完成を見ることなく亡くなったが、在りし日の俊二さんと二人のツーショットなど、心あたたまる写真が心をなごませる。
書名:『あなたが認知症になったから。あなたが認知症にならなかったら。』
著者:越智須美子、越智俊二
発行:中央法規
価格:1,680円(税込み)