厚生労働省は、7月29日、介護福祉士資格取得の実務経験ルートで600時間受講の義務化について、予定していた2012年度施行を3年延期し2015年度の施行とする方針を発表した。
3年延期は、同日開かれた「第4回今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」の中間まとめ案の中で示された。
現在は介護福祉士国家試験を実務経験ルートで受験する場合、3年以上の実務経験で受験できるが、2007年の社会福祉士・介護福祉士法改正により、2012年4月施行後は実務経験に加え600時間以上の研修受講が義務付けられていた。
同検討会ではこれまで、新たに課せられる600時間の研修を巡って検討が重ねられ、今回の中間まとめ案でも賛否意見とその理由がページを割いて掲載されていた。が、まとめ案の中でわずか4行にわたり「その施行は3年後程度とすべき」という記載があり、出席委員らは一様に「突然3年間延期が記載されている」と、とまどいの声をあげた。
厚生労働省は延期理由について、今年5月に事業所・施設に実施した介護職員研修の実施状況を調査した結果から「2012年度施行に対応できない事業者や従事者が多数いる。年間15万人いる受講者に新たな養成課程を受けてもらうには準備が必要」と回答した。
会議終了後、記者団にとり囲まれた厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室の泉潤一室長は、「施行を延期するには社会福祉士・介護福祉士法の改正も必要。改正法案の提出時期については政務三役など政治レベルの相談になる。600時間の時間数も含めて全体の議論を深める必要がある」とコメントした。
次回会議は9月に開催される予定。