公益財団法人日本医療機能評価機構は11月28日、2012年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。
それによると、昨年の薬局におけるヒヤリ・ハット事例の報告件数は7166件で、その内訳は、調剤関連が6424件(89.6%)、疑義照会関連が730件(10.2%)、医薬品の販売関連が3件等となった。
疑義照会とは医師の処方箋の誤りを薬局で発見することで、具体的には「通常とは異なる用法などを含む処方内容」「患者が理解している用法と処方内容との相違」「併用薬」などの用法変更、そして容量変更があげられる。
また、あってはならないことだが、薬剤師が「ヒヤリ」とする名称類似薬も紹介されており、事例の内容が「薬剤取違え」であった事例が1,005 件報告されている。このうち「名称類似」(注)に関する事例259 件の中で、平成23 年に引き続き再び報告された、薬効が異なる医薬品の組み合わせには、以下のようなものがあった。
注:「名称類似」とは取違えた医薬品の販売名の頭文字が、文字として2文字のみ一致、または3文字以上一致する医薬品のこと。
以下に紹介するのは、珍しい薬剤ではないため、ケアマネジャーの皆さんも名前を耳にしたことがあるかもしれない。しかし、数文字違いで薬効が大きく異なると、時には患者の命をもおびやかす。
今回、お薬手帳の確認から疑義照会を行い、重複して処方された薬剤削除につながった事例も多数判明していることから、ヒヤリ・ハット事例の再発防止に、お薬手帳を活用していく重要性が明らかになった。
【名称類似の薬剤例】
●ガスモチン錠5mg 【薬効】その他の消化器官用薬、他に分類されない消化器官用薬
■ガスコン錠40mg 【薬効】止しゃ剤、整腸剤、ジメチコン製剤
●ムコダイン 【薬効】去たん剤、システイン系製剤
■ムコスタ 【薬効】消化性潰瘍用剤、その他の消化性潰瘍用剤
●マイスリー錠 【薬効】催眠鎮静剤、抗不安剤、その他の催眠鎮静剤、抗不安剤
■マイスタン錠 【薬効】抗てんかん剤、その他の抗てんかん剤
●ドグマチール錠100mg 【薬効】精神神経用剤、その他の精神神経用剤
■ドグマチール錠50mg 【薬効】消化性潰瘍用剤、その他の消化性潰瘍用剤
◎日本医療機能評価機構
http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/