NHK厚生文化事業団は、高齢社会の生き方をテーマにした「銀の雫文芸賞2013」 の入賞作品が決定したことを発表した。
高齢社会をどう生きるか? 介護やいきがいなど、時代の流れを生き抜く人間模様を、豊かに力強く描いた小説を募集したところ、今年は672編の応募作品があった。
最優秀には大阪府の柳 霧津子さんの作品『マー子さん』が選ばれた。優秀作品には『がんばれ!』と『石工のしあわせ』の2作品が選ばれた。NHK厚生文化事業団では、この3作品を収めた入選作品集を10月中旬に発行する予定だという。
■入選作品:
最優秀 『マー子さん』 柳 霧津子(大阪府・51歳)
[あらすじ]
高校2年生の荒木 麻亜子は、昭和の遺産のような「スーパー亀定」でアルバイトを始める。店の客にクレーマーの「マー子さん」と呼ばれる72歳の女性がいた。ある日、亀定は大型スーパーの進出で存続の危機に直面。亀定の人々の温かさに、自分の居場所を見つけた麻亜子は、同級生の協力を得て、高齢者向けの宅配サービスを始める。その利用者第一号がマー子さんだった。
※『マー子さん』はラジオドラマ化される予定。
優秀 『がんばれ!』 やまろ まさし (神奈川県・52歳)
[あらすじ]
噺家二つ目の健太郎は、妻・奈津子の祖父の葬儀に向かっていた。気乗りしない道中だった。というのも、来週には三度目の真打昇任試験を控えて気もそぞろ。焼き場から故人宅に戻り、精進落としが始まり、健太郎は親戚たちに故人の人柄を尋ねるが、どうも話がかみ合わない。やがて、泥酔した従兄弟が持ち出した日記帳を見せられる。それを機に事態は一変する。
優秀 『石工のしあわせ』 渡邊 政治(広島県・59歳)
[あらすじ]
石材店を営む北川 隆三。身内は東京に嫁いだ娘だけである。東京の美大彫刻科を卒業した藤井健介を作業員として雇う。ある日、公園に飾る少女の石像を造る仕事が入る。協力して石像を制作するうち、二人の間に友情のようなものができていく。石像が完成し、臨時教員に採用された健介は東京に帰って行く。ある夜、散歩に出た隆三は公園に置かれた石像を壊そうとする若者たちを制止するが…。
■入選集の発行について:
3作品を収載した入選作品集を10月中旬ごろ発行する予定。申し込み方法はホームページ(http://www.npwo.or.jp/library/sizuku/)にて。なお、昨年度以前の一部作品もPDFで見ることができる。
■審査員:
出久根 達郎氏(作家)
竹山 洋氏(脚本家)
里中 満智子氏(マンガ家)
若泉 久朗氏(NHKドラマ番組部長)
田波 宏視氏(NHK文化福祉番組部長)
◎NHK厚生文化事業団
http://www.npwo.or.jp/index.html