近畿大学農学部と井村屋株式会社は、小豆煮汁が骨粗鬆症の予防・改善に役立つことが判明したと発表した。
ヒトの骨には、骨を作る細胞(骨芽細胞)と、古くなった骨を壊す細胞(破骨細胞)の2種類の細胞があり、これらがバランスを保ちながら少しずつ新しい骨と入れ替わること(骨代謝)で強い骨を保つ。骨粗鬆症とは骨芽細胞に比べ破骨細胞の働きが上回り、骨を壊す作用が強くなるために骨がスカスカ(骨密度低下)になり、もろくなる状態のことを言う。
日本の骨粗鬆症の患者数は、平成23年の時点で約1,300万人と推定されている。骨粗鬆症患者数の増加とともに高齢者の転倒による骨折患者数も増加しており、ひどいケースでは大腿骨骨折により自力歩行が不能となるため、寝たきりの生活へとつながる危険性がある。
小豆を原料とする商品を主力としている井村屋は、小豆加工品の製造段階において大量に発生する小豆煮汁に注目し、近畿大学の伊藤智広講師と共同で研究を実施。その結果、小豆煮汁から調製したポリフェノール成分を豊富に含む抽出液は、骨芽細胞の分化(細胞が何らかの役割を持つ細胞に変化すること)を活性化、破骨細胞の分化を抑制させることで、骨を作る働きを強め、同時に骨を壊す働きを弱める性質を持つことが判明した。このように小豆煮汁は骨粗鬆症の予防・改善に役立つ素材として今後活用できることが期待されるという。
研究成果を受け、伊藤講師は「骨粗鬆症患者の割合が高い高齢者が積極的に小豆食品、とりわけ赤飯のような色出しに小豆煮汁を使っている商品を摂取することが予防に効果的と考えられる」とコメントしている。
研究成果は、平成25年8月29日~31日に行われる第60回日本食品科学工学会記念大会(実践女子大学)において、発表を予定している。
◎近畿大学
http://www.kindai.ac.jp/
◎井村屋株式会社
http://www.imuraya.co.jp/