平成24年度厚生労働科学研究・障害者対策総合研究事業「睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班」および「日本睡眠学会・睡眠薬使用ガイドライン作成ワーキンググループ」は、共同で「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」を策定した。
不眠症は頻度の高い疾患であり、日本の一般成人の約10人に一人が罹患している。特に高齢になると、早朝覚醒、深夜の頻回な覚醒など、不眠症につながる症状が頻出る。このような場合、睡眠薬がしばしば処方され、服用患者数、一日当たりの服用量、多剤併用率ともに増加傾向にある。
一方で、世界的に見ても、日本人は睡眠薬に対する不安が強い国民であることが知られている。不眠症は、夜間の不眠症状のみならず、日中の精神活動や生活機能の低下をもたらす。いったん慢性化すると自然に治癒することが少なく、うつ病や生活習慣病などの合併症を引き起こす(悪化させる)看過できない疾患となる。
不眠症から立ち直るために睡眠薬を必要としている多くの患者に、安心して薬を服用してもらうために、医療者が適切な処方と休薬を指導するためのガイドラインとなる。
このガイドラインでは、不眠症の薬物療法を安全かつ効果的に行うための診療指針を示している。とりわけ、睡眠薬の適正使用法はもちろんのこと、非薬物療法(睡眠衛生指導、認知行動療法)を活用しつつ、出口(減薬・休薬)を見据えた不眠治療のあり方に焦点を当てたのが特色。
不眠症と睡眠薬に関する代表的な40の臨床上の疑問点を取り上げ、医療者および患者向けに、最新のエビデンスに基づいた現時点での最良の回答を作成している。医療者向けの難解な部分もあるが、Q&Aの部分は患者向けにわかりやすく書かれているため、不眠症に悩んでいたり睡眠薬を服用しているご利用者を担当するケアマネジャーは、ぜひ一度目をとおすことをお勧めする。
◎睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン―出口を見据えた不眠医療マニュアル―
http://www.ncnp.go.jp/pdf/press_130611_2.pdf