高齢社会をよくする女性の会は、このほど「人生最期の医療に関する調査・医療者編」の結果を発表した。
同調査は、先頃結果を発表した、全国の10歳代~90歳代の男女が対象(回答者4,744人)の「人生最期の医療に関する調査」に付随して実施したもので、医療者(医師・看護師)が実際の現場で終末期医療をどのようにとらえているのかを明らかにし、今後の問題点を探ることを目的としたもの。
調査の結果から、回答者の約9割が終末期医療に関わったことがあることがわかった。調査結果は医師・看護師別でも集計しており、終末期の治療方針を決定する時、看護師は患者本人の意向を、医師は家族の意向を重視している傾向にあった。また、看護師では、「終末期の医療方針を決める際に困難と感じること」に「本人の意思がわからないこと」をあげている人が多く、手続き上重要な家族の了解以上に本人の意思を尊重していることが伺われた。
【調査の概要】
■調査対象:全国の20歳代~80歳代の医師131人・看護師97人、計228人(女性163人、男性65人)
■調査時期:2012年12月~2013年3月
■調査方法:郵便による配送、郵便・FAX・E-mailでの回収
調査の結果は以下の通り。
■終末期医療に関わったことがあるのは全体の約9割
「終末期医療・高齢者の介護に関わったことがあるか」との質問には、「ある」が全体の89.5%、「ない」が8.8%、関わったことはないが関心は「ある」が1.8%だった。また、「ある」と回答したの医師は88.5%、看護師は90.7%だった。
「終末期となった担当患者にどのようなことをしているか」との質問(複数回答)には、医師・看護師ともにもっとも多かったのが「苦痛の軽減」で、医師は85.5%、看護師は86.27%。次いで「抹消点滴による水分補給のみ」が医師65.8%、看護師63.2%、「胃ろう」が医師52.1%、看護師64.4%の順に多かった。また、看護師が医師を顕著に上回ったのは次の3つで、「IVH(ポートを含む)」が14ポイント、「経口摂取以外は何もしない」が17ポイント、「胃ろう」が12ポイントと、それぞれ看護師のポイントが高かった。
■看護師は患者本人の意思を尊重する傾向が強い
「高齢の患者や家族と終末期の医療方針について話す時、どんなことを困難に感じるか」との質問では、「家族の意見が一致しない」が79.6%、「本人の意思がわからない」が63.0%、「死を受け入れられない」が43.6%。「感じない」はわずか4.3%だった。また、「本人の意思がわからない」と回答したのが看護師75.8%、医師53.3%で、看護師が22.5ポイント上回った。「感じない」と回答したのは看護師が1.1%なのに対し、医師は6.7%だった。
「終末期の担当患者の治療方針を決定する際、主な要素は何か」との質問では、「患者本人の意思」と回答したのがもっとも多く、全体の66.5%、「家族の意向」が29.8%、「医師の方針」が0.9%だった。「患者本人の意思」と回答した看護師は78.3%で、医師の57.7%を20.6ポイント上回った。また、「家族の意向」は医師が47%、看護師が18.5%で、医師が28.5ポイント上回った。
◎高齢社会をよくする女性の会
http://www7.ocn.ne.jp/~wabas/
◎「人生最期の医療に関する調査・医療者編」
http://www7.ocn.ne.jp/~wabas/enq_201303_i.pdf