厚生労働省は、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律第15条の規定に基づき、以下のとおり国会に報告したことを1月25日に公表した。
■法律の内容
・事業主が従業員から厚生年金保険料を天引きしたにもかかわらず、保険料を納付しなかった等のために年金記録がない事案について、年金給付を行うことを可能とする措置を講じたもの。
・年金記録確認第三者委員会でのあっせん等を受けて、年金記録を訂正し、年金給付を行うとともに、事業主に対しては、保険料の納付を勧奨し、追納を求めていく仕組み。
・議員立法により提案され、平成19年12月成立。
■国会報告
・厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律第15条において、政府は、概ね6か月に1回、国会に、年金記録確認第三者委員会の調査審議の結果や事業主の保険料の追納件数等を報告すると規定されている。
・今回の国会報告は、平成24年9月30日までに年金記録確認第三者委員会においてあっせんが行われた事案等について報告するものであり、今回は第10回目の報告である。(本日閣議決定)
なお、第1回報告を平成20年7月1日、第2回報告を平成21年1月16日、第3回報告を平成21年7月28日、第4回報告を平成22年1月26日、第5回報告を平成22年7月27日、第6回報告を平成23年1月25日、第7回報告を平成23年7月26日、第8回報告を平成24年1月27日、第9回報告を平成24年7月27日に行っている。
■「厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律」に基づく国会報告について
Ⅰ.法律の内容及び国会報告の根拠
・本法律は、総務省の年金記録確認第三者委員会が、保険料徴収の消滅時効(2年)が成立した保険料分について、被保険者からの保険料天引きの事実があるにもかかわらず、事業主の保険料納付の事実が明らかでないとあっせん等した場合、厚生労働大臣は、年金記録の訂正を行うとともに、事業主等に対して保険料納付の勧奨等を行うことなどを内容とするもの。
・法第15条においては、政府は、おおむね6月に1回、年金記録確認第三者委員会の調査審議の結果の概要、特例納付保険料の納付の状況等法律の施行状況を国会に報告することが求められており、これまで、平成20年7月以降、毎年1月と7月に報告している。
Ⅱ.今回報告の概要
厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成19年法律第131号)第15条の規定に基づき、平成19年6月22日から平成24年9月30日までに総務大臣から厚生労働大臣(平成21年12月31日までは社会保険庁長官)に対し、記録訂正のあっせんが行われた事案と年金事務所において記録訂正が可能と判断した事案についての施行状況に関して報告するもの(件数は累計)。
1. 年金記録確認第三者委員会における調査審議結果の概要
厚生年金保険関係のあっせん等件数 78,679件
(1)厚生年金保険関係のあっせん件数(厚生年金特例法に関するあっせんでないもの) 14,041件
(2)厚生年金特例法に基づくあっせん等件数 66,465件
・上記のうち、事業主が保険料納付義務を履行しなかったと認められる事案 58,281件
・上記のうち、事業主が保険料納付義務を履行したかどうか不明と認められる事案 9,128件
2. 厚生年金特例法に基づくあっせん等により厚生労働大臣が記録を訂正した件数 66,465件
3. 特例納付保険料の納付の状況等特例納付保険料の総額 72億645万7,256円
(1)年金事務所が納付を勧奨した件数 56,544件
(2)事業主等から納付の申出があった件数 49,924件
(3)納付が行われた件数・ 43,385件(総額47億8,011万8,123円)
(4)納付の申出がない事業主等を公表した件数 3,385件
(5)公表後に納付を再勧奨した件数 2,147件
4.事業主が納付に応じない場合であって、一定期間経過した後、国が負担した特例納付保険料の額に相当する額の総額等
(1)特例納付保険料相当額を国が負担した件数 676件
(2)国が負担した特例納付保険料相当額の総額 2億3,576万1,091円
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