国立社会保障・人口問題研究所は、2010年度の社会保障費用統計を公表した。
それによると、年金、医療、介護などの社会保障給付費は、前年度比3兆6272億円増(伸び率は3.6%)の103兆4879億円と過去最高を記録し、初めて100兆円を突破した。
対国内総生産比は21.60%、国民1人当たりの社会保障給付費は80万8,100円であり、1世帯当たりでは208万9,200円となった。
医療、介護などの部門別社会保障給付費をみると、「医療」が32兆3,312億円(31.2%)、「年金」が52兆4,184億円(50.7%)、「福祉その他」が18兆7,384億円(18.1%)である。介護にかかる給付費は、医療の6割弱となっている。
一方、保健医療、家族、障害などの機能別社会保障給付費を見ると、「高齢」が全体の49.1%で最も大きく、ついで「保健医療」が29.9%であり、この二つの機能で79.0%を占めている。これ以外の機能では、「遺族」(6.6%)、「家族」(5.3%)、「障害」(3.2%)、「生活保護その他」(2.8%)、「失業」(1.8%)、「労働災害」(0.9%)、「住宅」(0.5%)の順となっている。
100兆円の社会給付費のうち、半分は高齢者への保障となっており、今後の少子化・高齢化に伴って、医療・介護とも給付抑制にさらに拍車がかかるものと予想される。
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