気管支喘息とCOPDの専門医団体である日本喘息・COPDフォーラム(JASCOM/ジャスコム)と、製薬会社のグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)は、成人・小児喘息患者への大規模電話調査を行い、その結果を発表した。
この調査は、国内の喘息患者の治療・管理の現状を、治療ガイドラインの目標達成の観点で把握することを目的として実施されているもので、2000年、2005年に続き、今回が3回目となる。
ここでは、400人を対象に調査された、成人の喘息患者の調査結果について紹介する。
調査の結果、最近1ヵ月間の喘息症状発生率は、62%。いまだ多くの喘息患者が、喘息症状に悩んでいることがうかがえる。
社会生活上、もっとも妨げられているものは「睡眠」で、成人患者の39%が喘息症状で睡眠が妨げられると回答。次いで「スポーツおよびレクリエーション」が34%、「社会活動」25%と続いた。喘息発作は非常に苦しく、上手にコントロールできないと、QOLそのものに大きな影響を与える。そのため、ライフスタイルや職業・キャリアの選択にも、喘息患者であることが影を落とす場合が多いことがわかる結果となった。
また、かつては喘息発作により呼吸困難に陥り、命を落とすことがあることから、「喘息は命にかかわる恐ろしい病気」として認識されていたが、吸入ステロイド薬(ICS)、および吸入ステロイド/長時間作用性吸入β2刺激剤(ICS/LABA)の混合剤が普及するにつれ、喘息死亡率は激減。1995年の7253人をピークに年々減少しており、2000年は4473人、2011年は2000年の半数以下の2060人にまで減少した(厚生労働省「人口動態統計」より)。小児(0~14歳)においては、2011年の志望者はわずか3人だった。
ICSおよびICS/LABAは現在では、喘息治療の第一選択薬であり、これらの吸入薬を用いた定期吸入療法が治療の根幹となっている。
しかし、長期にわたり服用することで効果が表れるこれらの薬を、途中で中断してしまう人もいる。その理由をたずねたところ、「症状がなくなったので」が61%と最も多く、次いで「発作が治まったので」(39%)、「医師の指示」(17%)という回答が続いた。
医師の指示以外では、独断で中断しないに越したことはないが、こうした吸入療法は、錠剤と異なり、慣れるまでは吸入器の扱いや吸入方法についての指導を受ける必要がある。
高齢の喘息患者にとっては、特に、定期的な吸入指導を受けることも不可欠だ。
もし、ケアマネジャーの皆さんが担当する高齢者で、ICSやICS/LABAといった、吸入器を用いた薬剤を処方されている喘息患者がいたら、医師、薬剤師、看護師らに定期的に吸入指導を受けているか、独断で吸入を中止していないかなども、ぜひ気にしてもらいたいところだ。
■関連記事
・「喘息死」の90%は60歳以上——理化学研究所が病態解明に前進
・グラクソ、喘息患者の8割が「インフルエンザに不安」アンケート結果発表