9月13日、東京都庁で開催されたシンポジウム「認知症を知ろう〜地域で暮らす・社会で暮らす」の後半は、パネルディスカッション「認知症への理解を育む〜地域で暮らす・社会で暮らす〜」が行われた。
パネリストは、武蔵野市健康福祉部高齢者支援課の伊藤真由美氏、ケアサークル恵愛の介護支援専門員の長澤かほる氏、ミニケアホームきみさんち理事長の林田俊弘氏、アルツハイマー病の妻の介護を続ける石田貴代司氏の4名。
まず、「認知症の人とどうつきあっていくべきか」というテーマについて、伊藤氏は、「どうやって“おだやかに”接するかだと思う。そうはいっても、介護する家族はストレスがたまるもの。常におだやかに、というわけにはいかない。息を抜きながら、サービスを受けながら、手伝ってもらいながら、を大事にしてほしい」と語った。
長澤氏は、「正しい知識を持って、理解することが大切」とした。林田氏は、グループホームがある地域の人たちの協力を例に挙げた。「買い物に行っても、お店の人はお客さんの一人として見てくれる。本人の自尊心を傷つけないことが大切」。石田氏は、家族としてやさしく接することの難しさを訴えた。
そこで、林田氏から「(認知症の)奥さんに、つらさや不安を正直に伝えることで、夫婦関係がより良くなるのでは」とアドバイス。女性に弱みが見せられない、という石田氏が「今日から自分を変えてみます!」と宣言し、会場は和やかな雰囲気になった。
次のテーマは、「認知症が初期の段階でのケアについて」。林田氏は、自分の父親の認知症を見抜けなかった開業医の話を紹介しながら「認知症をよく理解している医師の診断が必要」と語った。長澤氏も、開業医から専門医へスムーズにつなぐ必要性を語った。伊藤氏は、「こまった時には、まず役所に相談してほしい」と訴えた。
では、認知症が進行したら、本人や介護者にはどういう支援が必要なのか。長澤氏は「まず介護者の疲れをとることが大切。在宅介護なら、ショートステイや小規模多機能サービスを受けることも対策のひとつです」。また、利用者の金銭負担がかからないサービスが増える必要性を説いた。
林田氏は「できれば在宅、はもちろんだが、その人に合った施設を時間に余裕を持って探しておくべき」。最後に石田氏が「介護する側もされる側も、会話ができる相手のいる大切さを感じる。私たちは“おしゃべりウォーキング”を毎日行って、効果を実感しています」と、妻が要介護2から1になった現在を語った。
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