世界保健機関(WHO)は、世界の認知症の患者が、有効な対策をしないでいると2050年までに3倍の1億1,540万人に増えるとする報告書を発表した。
報告書によると、世界の各国で認知症の患者は2010年現在、3,560万人に上る。その数は毎年増え続け、2030年には6,570万人と現在の1.8倍になり、2050年には3.2倍になるという。国連推計の2050年の世界人口は約91億人(うち60歳以上が20億人)なので、患者の割合も約1.27%に上昇する。
認知症は今や、高所得国だけでなく、低・中所得国でも大きな問題になりつつある。これは、急激な高齢化が進んでいるためで、現在でも認知症患者の半数以上の58%を占めているが、2050年には70%以上に増えていくと予測されている。特に、中国、インド、中南米諸国で急激に増えると見られる。
WHOは、今後、認知症対策が多額の予算を必要とする大きな政治課題になると警告し、放置できない人類の健康への脅威として、認知症患者や介護者への支援体制を国の健康福祉システムの中で確立する必要性を提言している。
■関連記事
・厚労省内部に「認知症施策検討プロジェクトチーム」発足
・世界に例を見ない高齢化率の日本、要介護者が急増し介護の担い手の負担も増加――内閣府