日本総合研究所は、厚生労働省が開催している「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」でも資料として提出された、「ケアプラン詳細分析結果」の報告書を同社のホームページ上に公開した。
この分析は、「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査」(2011年3月実施)のデータを用いて行われた。検討したアドバイザーは、日本介護支援専門員協会の木村隆次氏、基礎資格が作業療法士、社会福祉士等の介護支援専門員、基礎資格が看護師、保健師等の主任介護支援専門員、医師、保険者、研究者など13人のメンバー。2011年8月から2012年2月にかけて4回にわたって検討が行われ、まとめられたものだ。
分析・評価の対象は、調査データから無作為に抽出した70件の事例のケアプラン。これを、利用者・家族の状況把握ができているか、課題を整理して優先順位づけできているか、課題から方針を定めて具体的目標設定ができているか、それにマッチしたサービスが盛り込まれているか、必要な情報がわかりやすくケアプランに書けているか、という5つの視点から評価している。
まず各アドバイザーが、個別のケアプランの内容を読み込み、できている部分とできていない部分を検討して評価。その各アドバイザーの評価をもとに評価の視点・項目がとりまとめられている。そして、評価結果として、できていない部分については、たとえば要介護状態の原因疾患の把握ができていてもケアプランに書けていないのは、現行のケアプランの様式上、記載欄がないためであること、生活全般の課題に「〜したい」という記述が多いのはICFの考え方にとらわれすぎている等、具体的な指摘が示された。
さらに各アドバイザーから、検討した70件のうちケアマネジメントが有効に機能している実践事例の推薦を受け、14件を取り上げて詳細に分析。ケアマネジメントの分析・評価を行う際に必要な視点を抽出している。
課題解決に向けた提言として示されたのは、研修等によるケアプランの記載方法の定着促進、課題整理表、モニタリング表の2表を追加するというケアプラン様式の見直し、1か月程度の短期間ケアプランの活用などケアプラン運用方法の見直し、主治医意見書を介護支援専門員に提供するルール明確化など情報収集とアセスメント充実のためのルール化などである。資料として、新たに提案されたケアプラン帳票も含め、ケアプランの記載モデルも示されている。
報告書の全編を通し、ケアマネジメントや介護支援専門員の資質に対する安易な批判は見られない。要介護度の改善だけでなく利用者の尊厳ある生活の持続を支える、広い意味での自立支援に資するケアマネジメントはどうすれば確立できるか、どのような視点から見ればケアマネジメントを正しく評価できるかを見出そうとする姿勢が感じられる。限られたデータに基づいた検討と提案であることから、提案事項等については妥当性についての検証作業が必要であることなども明記されている。
◎日本総合研究所/介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する調査研究 〜ケアプラン詳細分析および基礎調査の結果を公表します〜
■関連記事
5名の構成員による充実したプレゼンテーション――第2回ケアマネのあり方検討会(1)