矢野経済研究所は、病院グループに関する調査を実施し、その結果を発表した。
今回の調査では、病院2施設以上と介護老人保健施設・介護老人福祉施設2施設以上をもつ団体、または、病院を3施設以上有する団体を、病院グループと定義した。なお、医療法人とは医療法に基づき民間医療機関等に与えられる法人格、病院とは病床数20床以上の医療機関である。
調査要綱および調査結果サマリーは下記のとおり。
【調査要綱】
■調査期間:2012年1月〜3月
■調査対象:民間病院グループ、一部公的病院グループ等
■調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・Eメールによるヒアリング、医療法第52条第2項および各自治体の条例に基づく医療法人の事業報告書等の閲覧または写しの交付、並びに文献調査併用
【調査結果サマリー】
1)病院グループに所属する医療法人の2010年度経常利益は、大手を中心に拡大
病院グループに属する医療法人約400法人の2010年度の決算数値を2009年度と比較すると、増収増益の法人が多数を占めた。とくにグループ内法人・施設の再編、機能強化に注力した大手民間病院グループの医療法人の収支改善が進んでいる。
2)民間病院グループに所属する病院への評価が高まる
DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System:急性期入院医療の診断群分類に基づく定額報酬算定制度)参加病院等のなかで、県内トップクラスの救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を示す民間病院グループの病院もあり、2012年度診療報酬改定において、密度の高い診療を担う「DPC病院II群(大学附属病院を除く高密度診療病院)」に位置づけられた施設もみられる。
3)病院グループ内の各病院の機能分化と連携、及び、本格的な介護事業展開が進む
密度の高い診療を行う急性期病院への医師・看護師等といった経営資源の集中化、75歳以上へと団塊の世代の高齢化が進展する今後は、各病院の機能明確化と連携を進め、介護施設・高齢者住宅等の介護事業に本格的に取り組む病院グループが増加すると予測する。
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