10月7日、厚生労働省は第81回社会保障審議会介護給付分科会を開催した。
この日の議題は、「介護事業経営実態調査結果について」、「介護報酬の地域区分の見直しについて」、「介護サービスの質の評価について」、「中央社会保険医療協議会および介護給付費分科会打ち合わせ会について」。
まず、今年4月に行われた「介護事業経営実態調査」の速報値が報告された。これは、2011年3月中の各介護サービス事業の経営状況を調査したもので、2012年度介護報酬改定の基礎資料となる。約3万施設・事業所に配布し、約1万施設・事業所から回答を得た(有効回答数36.1%)。
結果は、「居宅介護支援」以外の19サービスで、いずれも黒字。特に黒字幅が大きかったのは、「通所介護(介護予防を含む」(11.6%)、「介護老人保健施設」(9.9%)、「介護療養型医療施設(病院)」(9.7%)、「介護老人福祉施設」(9.3%)など。
また、前回の平成20年調査の結果に比べると、グループホーム、訪問看護、通所リハ、短期入所、特定施設入居者生活介護以外のサービスでは、収支が改善されていた。
総収入における給与費の割合は、ほとんどが過半数を占め、居宅介護支援の80.4%、訪問看護の80.0%をはじめ、高い割合を示したが、「平成20年(前回)調査と比べ、各介護サービスの総収入に占める給与費の割合は、概ね減少」と報告された。
こうした結果に対して、委員からは、「10%近くの収支差率を上げるのはいかがなものか」と、収支状況に対する意見が上がった一方で、「地域性を加味する必要がある」、「実際に事業所から聞く状況とは異なっている」など結果を疑問視する声も聞かれた。
また、介護報酬の地域区分の見直しの問題では、今回、新たに「地域区分の見直しによる現時点の財政試算」に関する資料が提示された。
これによると、地域区分の見直しによる増加額は約0.6%と算出されるため、介護報酬全体の水準について、「約0.6%の切り下げが必要となる」とのこと。
池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)は、「全体を0.6%引き下げて改定をすることで、1単位10円を維持できるということですよね」と確認。
ほかの委員からは、今回の地域区分の見直しについて、「過疎地域の方が人員の確保が難しく、かえって人件費が高いということもある。単純に国家公務員の地域手当に住居で着ないのでは」との意見も挙がった。日本医師会常任理事の三上裕司委員も、医療を例に挙げ、「都市部のほうが雇用しやすい状況がある。医師の給与も、地方に行けば行くほど高額になりがち。一般的な賃金とは、異なる部分がある」と指摘。
厚生労働省担当者は、「まだ確定ではない」と回答した。
――社保審(2)へ続く
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