厚生労働省は、できる限り住み慣れた家庭や地域で療養を行うことができるよう、在宅医療提供体制を整備するための施策を講じると発表した。
施策は、「在宅医療連携拠点事業」、「訪問看護推進事業」の2つで、前者には平成23年度1億859万4千円の予算を、後者には6,359万8千円の予算をあてる予定。在宅医療連携拠点事業は、計画の提出を募り、都道府県、市町村、在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院、訪問看護ステーションなどに委託する。
【在宅医療連携拠点事業とは?】
在宅医療を提供する機関などを連携拠点として、多職種協働による在宅医療の支援体制を構築し、地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供をめざすというもの。
在宅医療連携拠点事業の拠点は、「多職種連携の課題に対する解決策の抽出」、「在宅医療従事者の負担軽減の支援」、「効率的な医療提供のための多職種連携」の3つを担うことが求められており、それぞれ下記のような体制を構築することが必須となっている。
○多職種連携の課題に対する解決策の抽出
・地域の医療福祉従業者が、一堂に会する場を定期的に設定
・在宅医療における連携上の課題を抽出し、その対応策の検討などを行う
○在宅医療従事者の負担軽減の支援
・地域の在宅医療をより効率的に提供するための仕組みを構築
→24時間体制を構築するための地域医療資源のネットワーク化
→チーム医療を提供するための情報共有体制
○効率的な医療提供のための多職種連携
・医療、福祉分野の経験豊富なスタッフを配置
・地域の医療、福祉資源の量や質に関する最適化に向けての活動などを通じて、地域のハブ機関としての機能を担う
【訪問看護推進事業とは?】
生活の視点を重視した看護提供や医療と介護をつなぐ役割など、在宅医療において重要な役割を担う訪問看護の推進と充実を図るというもの。
「訪問看護推進協議会設置の支援」、「研修事業の支援」、「在宅医療普及啓発活動の支援」という3つの支援を行い、訪問看護師の人材育成、訪問看護事業所の看護の質の向上をめざす。
○訪問看護推進協議会設置の支援
・訪問看護ステーションに関する総合的な相談
・訪問看護普及のための活動
・医療福祉従事者による多職種会議の開催
○研修事業の支援
・訪問看護ステーションの看護師の研修
・医療機関の看護師の研修
・訪問看護ステーション間の研修
○在宅医療普及啓発活動の支援
・在宅医療全般に関するフォーラム、講演会などの開催
・パンフレットの作成など