政府・与党社会保障改革検討本部は、1月31日、国民一人ひとりに「番号」を配布し、複数の機関に存在する個人情報について同一人物の情報であることを確認できるようにする、「番号制度」の導入を定めた、「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針―主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築―」を決定し、発表した。
この基本方針では、2014年6月に、全国民に番号を配布し、2015年1月から税分野などで利要を開始することとしている。
これまで、自分が納めた税金や保険料にふさわしい社会保障が的確に行われているのかを国民自身が自分の目で確認することができない、また、重複した添付書類が求められるなど行政手続きが煩雑であるなど、行政に対する不満が指摘されていた。
また、行政にとっても、正確な本人確認を行うために多大がコストと時間、労力をかけて書類を審査する必要があったり、国と地方間、地方公共団体間などの業務間の情報連携が不足しているといった問題があった。
これらの問題は、複数の機関に存在し、かつ、それぞれに蓄積される個人情報が同一人物の情報であるということの確認を行うための基盤が存在しないということに起因している。
今回、導入する方針が定められた番号制度は、こうした基盤を整えるためのもの。
この番号制度は、次の3つの仕組みで構成される。
1)番号の配布
国民一人ひとりに、唯一無二の番号(以下、「番号」)を最新の住所情報と関連づけて新たに配布する
2)情報連携
複数の機関において、それぞれの機関ごとに「番号」やそれ以外の番号を付して管理している同一人物の情報を紐づけし、紐づけられた情報を相互に活用する
3)本人確認
個人や法人が「番号」を利用する際、利用者が「番号」の持ち主であることを証明するための本人確認を行う
番号制度の導入によって実現することとしては、次のようなことが考えられている。
【社会保障分野でできること】
○年金手帳や医療保険証、介護保険証の機能を1枚のICカードに
○高額医療・高額介護合算制度を利用する際、添付書類を省略でき、申請も1か所に
○障害のある方に対し、利用可能なさまざまな施策の情報を提供
【年金分野でできること】
○二重に基礎年金番号が付番されたり、二重に年金手帳が交付されることを予防
○確定申告に必要な公的年金などの源泉徴収票の添付が不要に
○税務の所得情報を活用した所得比例年金制度を創設するための基盤ができる
【医療分野でできること】
○確定申告の医療費控除に必要な領収書などの書面の添付、保存が不要に
【税務分野でできること】
○所得の過少申告や扶養控除のチェックが効率的に
○社会保障の不正受給や税の不正還付などを防止
○国税・地方税とも、自宅のパソコンなどから自己の申告情報、納付履歴などを入手・閲覧できるように
今回、公表された「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」では、さらに、国民一人ひとりが自分の年金支払い情報や過去の医療費情報、税情報などをインターネット上で確認できる「マイ・ポータル(仮称)」の創設も検討されている。