厚生労働省は1月14日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)の施行規則の一部を改正し、五類感染症に新たに薬剤耐性アシネトバクター感染症を加える法改正を行った。
アシネトバクターは、昨年9月、帝京大学病院において、この菌に感染した入院患者が亡くなり社会問題ともなった、複数の抗菌薬に対する各種の耐性遺伝子を同時に保有する菌。ほとんどの抗菌薬に耐性を示すもので、2000年ごろから欧米で広がり始め、臨床関係者の間で警戒され始めていた。
我が国でも、海外から帰国した患者からの分離などが報告されて、院内感染症の原因ともなっており、厚生科学審議会感染症分科会感染症部会で審議されており、2010年10月現在、59例が報告されていた。
今回の改正により、患者を300人以上収容する施設を有し、内科および外科を含む病院は、2月1日より発生状況の報告が義務付けられる。
【五類感染症】
クラミジア肺炎
細菌性髄膜炎
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
マイコプラズマ肺炎
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
薬剤耐性アシネトバクター感染症
緑膿菌感染症