杖や手すりといった福祉用具は、高齢者の日々の生活を直接支える大切なツールです。その専門家は、安全・安心を維持するため日々、知恵を絞り、工夫を凝らし続けています。このシリーズでは、同じ介護業界で働くプロ(ケアマネジャー)が、福祉用具の専門家の、ちょっとすごい取り組みや工夫を取材・紹介します!
- 取材した介護のプロ(ケアマネジャー)
- Aさん(福岡市内の事業所勤務)
- スゴ技を発揮した専門家(福祉用具専門相談員)
- 阪東武士さん(ダスキン ヘルスレント博多南ステーション 店長)
ケアマネジャー×福祉用具専門相談員の絆で高齢者を支える
介護のキーパーソンを含めてフォロー
Aさん:福祉用具は介護を受ける方の生活になくてはならないものですから、とにかく必要とされるものを迅速にお届けすることが肝心。その点、阪東さんの献身的な仕事ぶりにはいつも頭が下がる思いです。
阪東:さまざまな都合で突然「明日から在宅復帰します」というケースもありますが、福祉用具が日常生活の助けになるお客様のことを思えば「準備が間に合わないから無理です」とは言えないですからね。その意味では、24時間365日、気を抜けない仕事です。
Aさん:少し前にも、そうしたケースがありましたね。ある医療機関の地域包括ケア病棟に入院していた方がご自身の意志で急遽退院することになり、大急ぎで対応していただいたことが。
阪東:介護ベッド、車椅子、そして車椅子で段差を越えるためのスロープなどをお持ちしました。適切な福祉用具を迅速にそろえるためには、やはりケアマネジャーさんとの情報共有の精度や日頃からの信頼関係が物を言います。それがあってこそ即日対応、遅くても翌日対応が可能になるわけですね。
Aさん:介護される方のご家族が精神疾患を抱えており、ケアの視点を入れたコミュニケーションが求められるケースでもありましたね。阪東さんはしっかりやられていましたが、並みの福祉用具専門相談員では対応に難渋しかねなかったと思います。
阪東:そうかもしれませんね。どのような方でも、相手のことを思って……という対応の姿勢は変わらないのですが、その方の場合は細かい部分が気になって仕方ない性質がありました。具体的にはお持ちしたマットレスが劣化しているから気に入らないという訴えで、実際にはそういうことはなかったのですが、よくお話を伺った上で交換して差し上げると安心してくださいました。お客様本人はもちろん、介護のキーパーソンとなるご家族まで含めてフォローが必要ですから、当然のことをさせていただいたという感覚です。
Aさん:単に「何か言っているから交換しておこう」ではダメで、訴えの根本にあるものを見定めないと同じことの繰り返しになります。コミュニケーションを通して「交換すれば精神的に落ち着く」という見込みがあっての対応でしたから、やはり阪東さんはお上手だったと思います。
「不思議な関係性」の中で、介護される方のために
Aさん:そのお客様は今も継続して支援させていただいていますが、本人のADLも上がりましたし、何よりそのご家族の精神的な落ち着きは見違えるほど改善されましたね。最初のサービス担当者会議では私たちに対して喧嘩腰といえるほどの当たりの強さでしたが……。
阪東:今では表情からすっかり穏やかになり、何かあれば相談していただけるような関係性がつくれたと思います。これはケアマネジャーさんを中心として関係者が緊密に連携できたからこその結果です。その中で、私もいくらか貢献できていたのならうれしいですね。
Aさん:考えてみれば、私たちの関係性というのは不思議なものです。別々の会社に所属する人間同士でありながら介護される方を中心に集まり、それぞれの専門性を生かして日々協力し合っている。
阪東:本当にそうですね。だからこそ福祉用具専門相談員の専門性を磨くことは当然として、会社を背負ったお付き合いの中で信頼関係を築いていかなければなりません。先ほど言ったように、それがお客様のためにもなるわけですから。
「介護される方を中心に置いて考える」が原点
Aさん:私はケアマネジャーの立場として、福祉用具専門相談員の皆さんがお持ちの専門性をもちろん重視・尊重しているのですが、中には「福祉用具専門相談員としての視点からの意見」だけを主張し、ケアプラン全体に対する目配りを忘れてしまっている方も見受けられます。
阪東:例えば、提案している用具の質は高くても、経済的なハードルからケアプランに取り入れることができない……といったケースはしばしばありますね。
Aさん:そうなんです。ケアマネジャーはケアプラン全体が最適かどうかを考える仕事ですから、正直なところ、福祉用具専門相談員の視点のみをもって語られても困ってしまうことがあるわけです。ただ、阪東さんはそうした意味でも視野が広いというか、サービス担当者会議などの場でもこちらの意をくんで振る舞ってくださいます。もちろん、ケアマネジャーの言いなりになるという意味ではないですよ。
阪東:事前に打ち合わせておくこともあれば、打ち合わせなしに阿吽の呼吸みたいなものが成立するときもありますね。結局のところ、ケアマネジャーさんも私たち福祉用具専門相談員も、何のために働いているかと言ったら介護される方のためです。自身の専門性を誇示するためでも、自社の都合を押し通すためでもありません。「介護される方を中心に置いて考える」という原点を忘れてはならないと思っています。
Aさん:本当にその通りですね。
阪東:それを踏まえたところで初めて、いろいろな会社に所属している各専門職の方々とチームを組んで働くことの醍醐味みたいなものが生まれてくるのではないでしょうか。
Aさん:数ある福祉用具事業者の中からダスキンヘルスレントさんが選ばれる理由としては、「対応が早い」とか「困難事例への対応力が高い」とか、ほかにもいろいろあると思いますが、「阪東さんのような素晴らしいスタッフがいるから」という点を私としては強調しておきたいですね。
一つでも多くの「ありがとう」を集めるために
Aさん:阪東さんは下の名前が「武士」ですが、それにまったく似つかわしくない穏やかで優しい方です。変な意味ではないですが、人柄の部分で中性的な感じがあります。だから相手に警戒されず、すっと懐に入り込んでしまうわけです。アイスブレイクもお上手ですしね。
阪東:仕事柄、ご高齢の方や、若くても困難を抱えた方などとコミュニケーションを重ねてきた中で、「できるだけ相手が話しやすいように」という物腰が自然と身に付いたのかもしれません。
Aさん:男性NGの方でも「阪東さんならOK」というケースまでありますから。
阪東:そのことは、私の一つの武器だと誇っていいのかもしれませんね。そもそも私が介護福祉の世界に関わるようになったのは福祉用具メーカーに就職してからで、その後、福祉用具レンタルの卸会社で商品管理センター長を務め、そこから転職して今に至ります。現場で直接ケアをする立場ではありませんが、それでもお客様からの「ありがとう」を一つでも多く集めたくて、今ここにいるような気がしています。
Aさん:なるほど。その「ありがとう」を頂くためには、介護される方のことを思って仕事をし、満足していただく必要がありますからね。これからも私たちの協力関係を深め、高齢者のために頑張っていきましょう!
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※写真提供:福岡市
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