どんな病気ですか?
大腿骨(太ももの骨)は、先端が丸まった骨頭を通じて骨盤とつながっており、ここが股関節と呼ばれる脚のつなぎ目に当たります。大腿骨頸部骨折は、骨頭の真下にある細くなった部分(頸部)の骨が折れる病気です。
女性は閉経後、ホルモンの影響で骨密度が急激に低下するため、男性よりもなりやすいと言われています。日本骨折治療学会によると、女性は全体の約8割を占めるそうです。
人間は、大腿骨で体を支えており、転倒などの際、頸部に衝撃が集まりやすくなります。加齢に伴い、骨がもろくなると、それほど大きな力が加わらなくても、頸部が折れてしまうのです。お年寄りが転んで歩けなくなったら、まずは「大腿骨頸部骨折を疑え」と言われているほどです。
骨折すると多くの場合、激しい痛みが起こり、立つことや歩くことができなくなります。療養中、認知症が進んだり、運動機能が落ちてしまったりすると、寝たきりの状態になりやすくなります。できるだけ早く手術を受け、速やかにリハビリを始めることで、運動機能の早期回復を目指す必要があるでしょう。
主な治療法には、折れた骨を金具などで固定してくっつける「骨接合術」や、頸部から骨頭までを切除し、人工の骨と置き換える「人工骨頭置換術」があります。
気をつけたいポイントは?
普段から、ご両親の立位のバランスはチェックしていますか?ふらつきがあると、転倒から骨折へと発展してしまいます。歩行の導線を中心に、住環境をよく確認しましょう。
転倒は、座る動作の途中でバランスを崩すことでも起きますが、意外と見落とされがちなのが電動ベッドの高さ。中には「電気代がかかる」と勘違いをされて、最初に設定した後でコンセントを抜いてしまう方もいます。電動ベッドが起立動作のしやすい高さになっているかどうか確認してください。ご両親に、この点を説明しておくのも良いと思います。