いつまでも元気でいてもらうために高齢者の暮らしで気をつけたいこと

はじめての福祉用具

床ずれ対策、最適の一品を選ぶには

いったんできてしまうとなかなか治らない床ずれ(褥瘡)。このやっかいな“傷”は、「圧迫」と「ズレ」が原因で生じます。

「圧迫」とはベッドに寝た時や車いすに座った時、体に縦にかかる力のこと。一方、「ズレ」は、ベッドや布団で上体を起こすときや体を動かすとき、体をふくときなどに、皮膚表面と皮膚の内部が互い違いにずれる力のことです。

日々の介護では、この2つの力をかかりにくくするための工夫が大切です。

床ずれを防ぐための、福祉用具の活用ポイント2つ

そして、さらに重要なのが、その2つの力に対応できる福祉用具を選ぶことです。

「OHスケール」でリスクをチェック!

福祉用具を適切に選ぶには、まず、利用する人がどのくらい床ずれを起こしやすいかを把握する必要があります。

その具体的な方法として、日本褥瘡学会のOHスケールの活用をお勧めします。

ベッドの上で寝がえりしたり
自力で動くことはできますか?
できる
0点
どちらでもない
1.5点
できない
3点
おしりの骨(仙骨)の
飛び出し具合はどれですか?※
正常
0点
軽度・中等度
1.5点
高度
3点
むくみはありますか? なし
0点
あり
3点
関節が硬くなって
手足が伸ばしにくいですか?
なし
0点
あり
3点

おしりの骨の飛び出し具合についての図解

このスケールのポイントは専門的な知識がなくても判定できること。

4つの項目について0点から10点で採点し、得点を合計します。合計点数が高いほど、床ずれの発生リスクが高くなります。大体、1分ほどで判定することができる、簡単な仕組みです。ありがたいのは、床ずれのリスクを判定するだけでなく、リスクに応じて大体、どういう寝具がよいかの目安もつけてくれる点ですね。

スコア リスク 床ずれ発症率 治癒期間
0点 リスクなし - -
1点~3点 軽度リスク 約25%以下 40日
4点~6点 中等度リスク 約26%~65% 57日
7点~10点 高度リスク 約66%以上 173日

代表的な床ずれ防止用具であるマットレスでいえば、以下のようになります。

・1点から3点の軽度リスクの方は、静止型で厚みは8~9センチの体圧分散型マットレス
・4点から6点の中等度リスクの方は、静止型で厚みは10センチ以上の体圧分圧型マットレス
・7~10は、圧切り替え型エアマット

ご家族の介護力も大切な判断材料

最終的に商品を決める際には、利用する人の状態に加え、ご家族の介護力なども考慮しなければなりません。例えば、同じ寝たきりの状態の方でも、家族に介護力がなかったり、独居であったりする場合は、自動体位変換機能付きのマットが必要です。一方、ご家族の支援が期待できる場合は、圧切り替え型のエアマットがよいでしょう。

ですので、手順としては「OHスケールでおおまかなリスクを把握」→「その情報に基づいて、福祉用具専門相談員やケアマネジャーと相談し、商品を確定させる」という流れになります。

床ずれがある場合はもっとも機能がよいエアマットを!

最後に、すでに床ずれができている方の場合は、もっとも機能がよいエアマットを、一刻も早く福祉用具専門相談員、ケアマネジャーと相談して導入してください。価格面でためらわれる方もいるかもしれませんが、床ずれがある以上、少しでも早く治りやすい環境を整えることが大切です。

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