「軽さ」「乗り心地」…様々な要素を両立しはじめた車いす
ここ10年ほどで、車いすは大きく進化しました。「軽量でいて乗り心地がよい」とように、かつては両立が難しかったことを、一台の車いすで実現できるようになってきたのです。
特に「軽さ」「コンパクトさ」「乗り心地」「介助しやすさ」に対応することを意識した商品が増えているように思います。
その実現のため、設計や各パーツも工夫が凝らされています。例えばタイヤ。最近の車いすでは、軽い力でも動かせるよう、ロードバイクのように幅が細くなっています。車いすと車輪の間隔がよりせまく設計されるようになったのも、コンパクトさと走りやすさを両立するための工夫です。
背もたれや座面も、単なる平面ではなく、人間の体にフィットする立体的な構造の商品も出てきています。さらに最近の“進化”として、「座王 X (エックス)シリーズ」のように、体を支えるインナーベルトに、伸縮する素材を使うことで、より体にフィットした状態を自動で実現してくれる商品も登場しました。
「座王Xシリーズ」
「座王Xシリーズ」では、背面のインナーベルトに伸縮する素材を採用。
体にフィットした状態を自動で実現してくれる。
加えて、車輪に樹脂ホイールを使ったり、全体に水玉模様をあしらったりと、デザイン面の進歩も目を見張るものがあります。
主に2タイプある車いす。選ぶコツは?
急速に進歩している車いすですが、主なタイプとしては「自走式」「介助式」があります。どのタイプを選ぶかは、利用目的と身体状況、そして介助者の有無も含めた環境を考慮しなければなりません。
ごくざっくりといえば、
・積極的に外出する方なら「自走式」
・主に屋内で使うことを想定している方であれば、車輪の小さい「介助式」
また、積極的に外出したいけど、自力で車いすを漕ぐ力がない方にはその中でも「電動タイプ」ということになりますが、もちろん、実際はこんな単純に割り切れるわけではありません。
何を優先し、何を妥協するのか―。すべての要望を完璧に満たす商品はまずありませんから、福祉用具専門相談員に相談し、よりご自身に合った商品を選んでください。
価格のみで選ぶと思わぬリスクも
商品を選ぶ際、どうしても気になるのは価格でしょう。中には、少しでも安価な中古品の使用を検討する人もいらっしゃるでしょう。
中古品のすべてが悪いわけではありませんが、タイヤや駐車ブレーキ、チューブなど消耗品が多い車いすの場合、メンテナンス面でどうしても不安を拭い去れません。命を預ける機器である以上、価格ばかりを重視せず、アフターフォローとメンテナンスがしっかりしている商品を選ぶべきではないでしょうか。
- アドバイスをいただいたプロの方
- 日進医療器 大阪営業所
所長 菊池邦彦さん - ダスキン ヘルスレント事業部
主幹 乾大輔さん