
痴呆症や、ぼけといわれた時代から、認知症と呼ばれるようになって、久しくなります。
認知症は、記憶力や認知能力が低下したことで、日常生活に支障が出ている状態と定義されています。
世界保健機関の国際疾病分類に載っていることから、「病気」といえるかもしれません。
では、「日常生活の支障」とはどの程度のことを言うのでしょうか?
メディアで認知症のことが取り上げられると、相談が増える傾向にあります。
大変な状況にある方々がテレビで放映されたり、ご家族様の疲弊した状況が報道されたりすることで、不安になられる方が増えるのではないかと思います。
何もせず、安心してくださいとは言えません。
でも、神経質に心配することで、生活が窮屈になることも避けたいものです。
認知症はどのように発症してくるのでしょうか?
脳が持続的に機能低下を起こしていること。
このように言われますが、脳の機能低下はどのように測られるのでしょうか?
脳の委縮が認められても、会話が成り立つ方もいらっしゃいます。
つまり、どれくらい委縮しているから、どれくらい会話が成り立たないと明確な相関関係は見られないということです。
同じ脳梗塞でも、人によって現れる症状が違うことからもご理解いただけるのではないでしょうか?
では、なぜ「認知症」と呼ばれるような混乱した症状が現れるのでしょうか?
主な要因は、「コミュニケーションの欠如」といわれています。
日中おひとりで過ごすもしくは、一人暮らし。高齢者の2人暮らしでお互いに耳が遠い・・・。
こういった状況の中で、物忘れは進んでいきます。
「やり取り」が乏しくなることが原因となります。
40肩などと同様に、使わなくなることで機能が落ちる「廃用症候群」の一種といわれることもある認知症。
予測しないコミュニケーションに対して、文脈にあったコミュニケーションを返す。
相手に受け取ってほしいコミュニケーションを相手が受け取れる内容で渡す。
そこにはたくさんの機能が使われています。
脳ドリルなどが効果的といわれますが、「考えること」が効果をもたらしているといえるでしょう。
お洋服を選んだり、お化粧したり、お料理やお掃除、日常生活に張りを持てることが何よりの認知症予防になります。
男性には不利に聞こえるかもしれませんが、「そば打ち」や「パンづくり」など職人のような趣味を持たれることであれば取り組みやすいかもしれません。
共通した背景には、「必要とされている」「お役に立てている」とご自身が感じられることがあります。
周囲のご家族様がご本人に暖かいコミュニケーションを送ること。いつもありがとうといった「あなたは必要です」「あなたの存在が心強いです」といったメッセージを送ることで認知症は防げます。
関係性が近くて遠慮がなく、甘えがある状況で難しい場合には、専門職を活用しましょう。
介護は特別なものではありませんが、コツが必要なものだったりします。
コツをつかむために専門職を活用するのも一つの方法です。
お互いが存在を認め合うことが、認知症をはじめ、様々な病気を防ぐことにつながります。




