
いろいろなお年寄りに接していると、貧しい食生活をしている人がとてもよく目につきます。配食弁当を取ったり、家事援助の調理サービスやデイサービスを利用していれば、幾分マシですが、気になるのは一人で食事の用意をしている独居の人です。
日進オイリオグループ株式会社では、在宅介護事情調査を定期的に行っており、最近は在宅介護している家族100名に対して『低栄養に関する実態調査』を実施。それによると、要介護者の40%がBMI120以下で低栄養傾向だとか。低栄養とは必要な栄養素が摂れていない状態のことで、その中でもたんぱく質とエネルギーが十分摂れていない場合が多いそうです。
この調査対象は、在宅介護をしている家族だということに注目を。一緒に食卓を囲んだり、家族が食事の用意をしている場合でも、高齢者は低栄養になりやすいことを示していることがおわかりでしょう。というのは、高齢者の食が細くなったり、やせてきたり、嚥下機能が低下してよくむせるようになっても、家族は「年だからしょうがない」と見過ごしてしまいがちだからなのです。
低栄養になると、次第にADLが低下し、日常生活動作が困難になっていき、さらに要介護となるというように、身体機能が衰えていきます。ある管理栄養士によれば、自分で食事の用意をしている高齢者の場合は、「私はちゃんと食べている」「栄養バランスも大丈夫」と、自分の食生活に自信をもっている人が危ういとか。そういう人たちは、食への関心が低い傾向があり、メディアから情報を得ようとする姿勢がなかったり友人と食に関する情報交換もしません。そのため自分の食生活に疑問を持たないそうです。むしろ、「私の食生活はこれでいいのか」「私は栄養が足りていないんじゃないか」と疑問をもっている高齢者のほうが低栄養になりにくいといいます。
低栄養になっているかどうかの大切な指標は体重です。高齢者は1カ月に1回は体重測定をして記録しておくようにしたいですね。体重が減少している様子が見られたら管理栄養士に相談しましょう。




